2017年放送された韓国ドラマ「トッケビ」は人気俳優コンユの4年ぶりのドラマ復帰作として、また「太陽の末裔」を手がけた人気脚本家キムウンスク・演出家イウンボクのゴールデンコンビの作品とあって、放送前から話題となりました。
ドラマは大成功に終わり、韓国ケーブルTVの歴代最高視聴率を塗り替える記録を達成!!
ストーリーは先の読めない展開にハラハラドキドキ・・・トッケビの不器用な愛情表現には胸キュン必至!
韓ドラ好きな人はもちろん韓国ドラマが苦手な人、まだ観たことがない人にも自信を持ってお勧めできる作品です。生涯忘れられないものとなるでしょう。
(トップ画像公式ページより)
トッケビのキャストと視聴率
全16話
放送年度 tvNで2016年12月2日~2017年1月21日
最高視聴率 20.5%
監督 イ・ウンボク
脚本 キム・ウンスク
トッケビ/キム・シン役
チ・ウンタク役
死神役
サニー役
ユ・ドクファ役
謎の老婆役
王ワン・ヨ役
王妃キム・ソン役
特別出演チェ・テヒ役
キム・ユラ役(ウンタクのクラスの学級委員)
ウンタクの従姉役
ワン・ヨの師
OSTを担当エイリー
主演を演じるコンユは最近は映画の出演が多く約4年ぶりのドラマ出演となりました。
さらに意外にも(?)コンユは時代劇初挑戦。ご本人は時代劇の衣装を身に着けての演技がこれほど大変だとは思わなかったとのこと。
衣装が重くて体中に傷ができたそうです。
また、撮影エピソードとしてユ・ドクファ役のユクソンジェは
”キムゴウンさんが現場を明るく盛り上げてくれ、イドンウクさんが撮影開始間もないころにゲームで共演者たちの距離を縮めてくれた”
と語っています。
コンユとイドンウクはアドリブが多かったとか。お互いに経験をつんだベテラン俳優ならではですよね。
コンユはイドンウクについて
「お互いにアドリブ対決を繰り広げていたのですが、現場であんなに笑いながら演じたのは初めてです。たまにアドリブが変な方向に向かってしまう人もいますが、イ・ドンウクさんは本当に瞬発力があって、最高なんじゃないかと思えるほど、打てば響くようにどんなアドリブにも、どんなパターンでもすべて受けとめてくれるんですよ。」Kstyleより
と話しました。
実力派俳優たちのすばらしい演技がこのドラマを大成功に導いたのでしょう。
韓国は視聴者の意見でシナリオを変えたりすることが多々あります。そのため当初の予定とはまったく異なるストーリーになり、放送回も大幅に増量なんてことも。
しかしトッケビに関しては、いろんな意見があったものの、制作陣がブレることなく物語を終えることができ、コンユは満足だと語りました。
2018年6月、台湾で行われたインタビューでコンユはトッケビ以降1年半も作品に出演していないことについて「トッケビが大好評だったため、次回作を慎重に選んでいる」とのこと。
そしてもしトッケビ2の話があったら?との問いに、「続編の話は聞いたことがないがもしあれば出演しない理由はない」と答えています。
【トッケビ】あらすじ
高麗時代の将軍キム・シンは、数々の外敵から国を守り、民から武神のように崇められていました。
しかし、シンの人気をよく思わないパク・チュンホンによって王ワン・ヨはそそのかされ、キム・シンとその部下をはじめ、シンの一族や、王妃であるキム・ソンまで、シンの妹であるという理由で殺害してしまいました。
その後、ワン・ヨは自らの行為を悔い自暴自棄となるのですが、奪ってしまった命が戻るはずもないのでした。
王のため、国のために尽くしてきたシンは無念の死を遂げたのですが、神の意思により不滅の命を持つ”トッケビ”として生まれ変わります。
この”死ぬことが出来ない”という呪いを解くには、”トッケビの花嫁”と呼ばれる存在の力が必要で、シンはその後900年に渡り花嫁を探すことになるのです。
時代は移り現代、シンの正体を見破る女子高生ウンタクと出会います。
彼女は自分のことを”トッケビの花嫁”だと主張しますが、シンは半信半疑。
一方、900年シンに仕えてきた一族のドクファは、シンの家を勝手に貸し出してしまいます。
それも貸した相手は、よりによって”死神”だったのです。
その後、ウンタクも押し掛けてくることになり、3人の奇妙な同居生活が始まることになります。
【トッケビ】みどころ
このドラマは時代劇から始まり、トッケビが誕生する経緯や、トッケビの花嫁であるウンタクの誕生と、死神との出会いから現在までを一気に描いています。
毎回、現在と過去を行き来するのではないのも、このドラマの特徴ではないでしょうか。
あくまで現在がメインで物語は展開されるのでドラマが複雑になり過ぎず、時代劇が苦手な人でも楽しめるようになっているんです!
そして一番のメインテーマとなるのは、トッケビことキム・シンとトッケビの花嫁たるウンタクの恋愛ドラマでしょう。
最初はウンタクのことを、本当にトッケビの花嫁かどうか疑うのですが、出会ってすぐにシンに猛烈アピールするウンタクと、それに狼狽えるシンというのがコミカルで、これがファンタジードラマにありがちな展開ではなく、意表を突いていて面白いんです。
ヒロインの境遇は不遇なものなんですが、前後にコミカルなシーンがあるため、思ったほど気持ちが暗くなることはありませんでした。
作品全体を通してコミカルテイストなので、見る前に構える必要のない気安さがあると思いました。
このことはかなり重要で、最初の流れは重苦しいけど、数話我慢すれば面白くなる!という作品もある中で、最初っから面白いというのはありがたいこと!
死神とサニーの奇妙な恋物語にも注目。
まず、死神でありながら人間に恋をするという設定自体が面白いのですが、死神の仕事をしている時はクールなのに、彼女の前ではまともに会話も出来ないダメダメっぷりで、彼女の方もそんな彼の顔だけで惹かれたという変わり者なんです。
二組とも人間同士の恋愛ではないので、今後の展開の予想がつかず、普通の恋愛ドラマのパターンとは違うというのも大きなポイントですね!
そして、もう一つのみどころはシンと死神の”ブロマンス(男同士の強い絆、友情ドラマ)”です。
トッケビであるシンは900年の間に人間の命を救ったり、運命を変えたりもしていて、死神からすると仕事を邪魔する厄介ものなんです。
そんな二人が何の因果か同じ家で暮らすことになり、そこにはドクファにウンタクもやって来てシェアハウス状態になります。
この二人のやりとりが面白く、徐々に友情のようなものも生まれてきます。
本来はウンタクをあの世に連れて行くはずの死神が、シンと協力してウンタクを危機から救ったり、恋の相談をしたり、料理をしたり、特殊能力で喧嘩したりと、自宅では子供っぽさも見せて、男らしい友情ドラマとは全く違った面白さがあります。
その他にも、幽霊が見えるウンタクの周りに集まる個性的な幽霊達とのやりとりや、死神と死者との心温まる話に、トッケビの人助けの話などもあって、感動的なサブエピソードも満載です!
更に、シンとウンタクが度々訪れるカナダはケベックでの美しいシーンや、シンの感情によって降る雨や雪、そして花が咲くシーンなど、映像美もみどころとなっています。
【トッケビ】感想と評価
「トッケビ」完走
最高って言葉じゃ足りないほど、素晴らしい作品でした!!
鬼と死神の会話は面白くてꉂꉂ
後半は泣いてばっか画も演技もOSTも全て素晴らしかった。2回、3回見たい…。#トッケビ#コンユ #キムゴウン pic.twitter.com/hlZGy9sezq
— かよ (@k__06_) 2018년 3월 4일
このドラマを一言で表すなら
『出会いと別れの物語』だと思います。
前世や来世、生まれ変わりを描いたこの作品は、ファンタジックでありながらもそこまで過剰ではないのが特徴で、色んな要素のバランスが非常にいいんです!
ラブロマンス、コメディ、人間ドラマ、友情、ファンタジー、アクション、サスペンス的な要素がありながら、基本はラブコメテイストであり、どの要素もそれを邪魔していないのが素晴らしいですね。
トッケビ(鬼)、死神、神、幽霊などが登場する作品でありながら無理矢理感がなく、すんなり感情移入出来るというのは、このドラマの世界観や展開にご都合主義のようなものがないからではないでしょうか?
斬新な設定や面白い展開があったとしても、それがうまく繋がらないと”ご都合主義”と呼ばれてしまうわけで、そういった点から見てもこのドラマは凄いですよね!
更に、無理に悪役を登場させたりイベントを入れ込んでないことも正解だと思いました。
勿論、悪役といえるウンタクの叔母や学校のクラスメイト、先生などはいますが、過剰に登場しないところがよく、恋のライバル、ラストまで決着がつかない敵役が居ないのもこれまでの作品も違うところ。
この作品は、どこかで見た展開だなぁとか、あぁこのパターンね、というものが極端に少なく、それでいて斬新すぎることもないという稀に見る作品!
前世で関わりがあった人が今世でも出会う、という定番の設定はあるんですが、前世と今世では顔が違う為そう単純ではありません。
韓国ドラマをよく見ていると、あるあるや、定番のパターンが見えてきて、他の作品を見ていても「ここで○○があるんじゃないか?」「やっぱりそういう繋がりがあったのね」など、展開やイベントを予測しながら見てしまいます。
それが、韓国ドラマの醍醐味でもあるんですが、数を見るとやはり感動が薄くなることも確かなんです。
そんな中で、この作品にはそういう要素が非常に少なく、新鮮な気持ちで作品を楽しめるという素晴らしさがあるんです!
ラブコメ好きは勿論のこと、コン・ユさんが好きな人、キム・ゴウンさんが好きな人、ファンタジードラマが好きな人にもお勧めしたい傑作韓国ドラマです!!
【トッケビ】視聴者の感想
まとめ:配役、俳優陣の演技力を高く評価する声が多く、また斬新なストーリーに心奪われたという感想が多かったです。コンユさんの吹き替えを担当した諏訪部順一さんは何度も泣いてしまったとか。
最後に
このドラマには、多くの謎があります。それは、キム・シンがトッケビになった理由をはじめ他にも沢山あるんです。
その中には物語が進むと分かるものや、推測出来るもの、神のイタズラや優しさとしか思えないものや、答えを知る必要などないものがあって、謎が分からなくてもドラマは楽しめるし、謎を突き詰めるという楽しみ方も出来ます。
所詮は輪廻転生や、奇跡というものは説明出来るものではないのですが、それを違和感を感じさせず描いているのが本作なんです!
こういうものは、普通のドラマだと都合がいいとか、帳尻合わせと言われるんでしょうけど、本作ではそれを言わせない説得力があり、それは脚本と演出、演技力の三つが抜群に良かったからにほかありません。
私が本作を見ていて気になったことに、何故キム・シンが”トッケビとなる”という呪いをかけられたのか、というものがあります。
一見、不滅の命を与えられ特種な能力もあり、まるで神かのような存在となるのはいいことのように思いますが、決して死ぬことが出来ず、ただ一人近しい人たちを見送るしかない、というのは寂しい限りでしょう。
シンは国の英雄であり、王やそれを操った側近こそ呪われるべきじゃないかと思うんです。
しかしよく考えると、シンは自らの意思を貫き、部下や家族、そして妹を殺されても王の元へ突き進み、結局は殺されたというより部下に命じて自分を殺させたわけで、シンが殺されると分かっていたのに凱旋したのが悪く、逃げていれば皆死ななかったかもしれないのです。
つまり、シンの頑なな態度のせいで多くの命を犠牲にした!とも取れるんじゃないかと思うんです。
それは戦争で命を奪うこととはまた違い、シンのエゴに対して神から罰を与えられたんじゃないかと私は推測しました。
小難しいことを書きましたが、このドラマはその謎に対して明確な正解がないので、こういう楽しみ方も出来ますし、勿論ラブコメとしても本当に面白い作品です。
そして、これまで演技力の素晴らしさは分かっていても、好みではなかったキム・ゴウンですが、本作を見てから可愛くて仕方ありません。
そういったミーハーな見方も出来るドラマでもあります!