イ・ヨンエ4年ぶりのドラマ復帰作!
ゲーム、酒、食べ物にしか興味がない引きこもりの元刑事と、謎多き殺人鬼との戦いを描くサスペンス・コメディ!
キャスト、あらすじ、感想、評価などをまとめました。
(トップ画像公式ページより)
調査官ク・ギョンイ【韓国ドラマ】キャスト一覧
Netflix全12話
平均視聴率:2.137%
最高視聴率:2.74%
放送期間:2021年10月30日~2021年12月5日まで韓国JTBCで放送
Netflixで同時配信
演出:イ・ジョンフム
「操作~隠された真実~」「誰も知らない」など
脚本:ソン・チョイ
【ク・ギョンイ役】イ・ヨンエ
元刑事。引きこもって飲酒とゲームばかりの生活を送っている。
【ソン・イギョン(ケイ)役】キム・ヘジュン
大学生。アマチュアの舞台俳優としても活動している。謎多き殺人鬼。
【サンタ役】ペク・ソンチョル
ギョンイのゲーム仲間兼助手。ボイスアプリで会話する。
【ナ・ジェヒ役】クァク・ソニョン(ソンヨン)
NT生命Bチーム長。元刑事。ギョンイの後輩。
【オ・ギョンス役】チョ・ヒョンチョル
NT生命Bチーム員。
【ヨン局長(ヨン・スク)役】キム・ヘスク
寄付財団「青い子供財団」の理事長。ケイを捕まえるため暗躍している。
【ゴヌク役】イ・ホンネ
セキュリティー会社の保安員。イギョンの協力者。
【キム部長役】チョン・ソギョン
ヨン局長の部下。
【ジョンヨン役】ペ・ヘソン
イギョンの叔母。5歳の頃イギョンを引き取り保護者となる。
【ホ・ソンテ役】チェ・デチョル
ヨンスクの長男。政治家。
【ホ・ヒョンテ役】パク・チビン(ジビン)
ヨンスクの次男。「青い子供財団」の公式広報大使。
【チャン・ソンウ役】チェ・ヨンジュン
ギョンイの亡き夫。教師。
「宮廷女官チャングムの誓い」のイ・ヨンエ、「師任堂(サイムダン)、色の日記」以来4年ぶりのドラマ復帰作!
本作の音楽はこれまでの韓国ドラマとは毛色が違っていて、ロック(デジタルロックやシューゲイザーっぽい楽曲が印象的!)やクラブミュージックなどがメインで、いかにもサスペンスなものやバラード曲などを使用していないのも新鮮でした。
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調査官ク・ギョンイ【韓国ドラマ】あらすじ
夫に先立たれて以降、刑事を辞め部屋に引きこもってはゲーム三昧の日々を送っていたク・ギョンイ(イヨンエ)。
そんな彼女のもとに、刑事時代の元部下で現在は保険会社で働いているナ・ジェヒ(クァクソニョン)が訪ねてきて、保険金の調査官として働いてほしいと頼まれます。
ゲームをするためのパソコンやお酒を買うお金が欲しかったギョンイはしぶしぶ仕事を引き受け、ゲーム仲間であるサンタを助手として雇い調査相手が暮らす港町へとやって来ます。
ジェヒに話を聞いたときから妻を疑っていたギョンイでしたが、調査をすると妻が夫を匿い保険金を受け取ろうとしていたという予想通りの結末にたどり着きます。
ところがギョンイも予想していなかった事態が起き、夫が本当に死亡してしまい・・・。
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調査官ク・ギョンイ【韓国ドラマ】みどころ
本作は保険調査官を主人公としたブラックコメディ要素もあるサスペンスドラマです。
保険調査をするとともに、因縁の相手である殺人鬼との対決も描かれるという内容で、よくある犯罪捜査ものとは違った作りになっています。
主人公も特徴的で、イ・ヨンエ演じるク・ギョンイは引きこもってゲームばかりしているアル中の元刑事で、部屋はゴミ屋敷な上に見た目も小汚いという衝撃的なキャラクター。イ・ヨンエのイメチェンぶりも驚きですが、サスペンスものの主人公としてもかなり斬新なタイプとなっています。
元刑事なのに違法なことも平気でしますし、見た目に反して名探偵のような推理力を発揮するのですが、その行動は名探偵=変人というのを体現するかようなもので、これまでの刑事・検事ドラマにはない驚きの展開を見せます。
対する殺人鬼ケイもかなり奇抜で、殺す相手に恨みがあるわけでもなく、無差別でもなく、誰かに依頼されるのでもないという、こういったサスペンスものではあまり見かけないタイプ。では何故殺人を続けるのか?何か意図があるのか?そして、ク・ギョンイに興味を示す理由とは?など、謎多きキャラクターとなっています。
サブキャラたちも個性的で、ゲームで知り合ったまったくしゃべらない助手をはじめ、保険会社の調査員に謎多き寄付財団理事長など、実にユニークな顔ぶれとなっています。
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調査官ク・ギョンイ【韓国ドラマ】感想・評価
刑事ものや探偵ものとも違った新感覚犯罪ドラマ。
ヒロインの奇抜なキャラクターぶりと、サスペンスの中に笑いを交えた作風などを見ると、中谷美紀主演の「ケイゾク」が思い浮かびました。
金田一耕助のような無頓着さと「SHERLOCK/シャーロック」のような捜査能力は天才的だけど人としては最低なタイプです。
ただ、キャラクターとしては面白いですが人としては関わりたくないタイプですかね。
そんなヒロインと敵対するケイを誰かに例えるなら浦沢直樹によるマンガ「モンスター」のヨハン的なキャラクターで、幼い頃より心が壊れてしまっている怪物的存在。
本作では若い女性を殺人鬼としてるのも珍しいですし、ありきたりなサイコパス像を当てはめていないのも斬新でした。
基本は綿密な計算の上、様々な人を巻き込んで殺人のように見せずに殺す知能犯なんですが、いざとなれば自ら手を下す暗殺者にもなれるというハイブリッド型殺人鬼。
マンガ原作なので無理があるところもありましたが、作風がシリアス一辺倒ではないのでそんなキャラクターでも受け入れやすくなっているんですよね!
正直、主人公ク・ギョンイのキャラクターは苦手に感じましたが、悪役であるケイは殺人鬼なのにキュートに思えるというハーレクイン的な存在でした。
この対照的なキャラクターの対決は知能戦あり、トムとジェリー的追い掛けっこあり、キャットファイトありというサスペンスドラマにしてはかなり奇抜なもので、この二人の存在があってこそのドラマだと言えますね。
本作はこの二人のキャラクターがずば抜けて際立っているんですが、やっぱり韓国ドラマだけあって権力者がその上をいく悪人ぶりを発揮するんですよね。
世間にはいい顔をして裏では悪魔の所業をしているのにそれを更なる悪行で隠している権力者と、罰が下されない悪人たちを殺していくケイ。
時代が時代ならケイは義賊と呼ばれた可能性があるのと比べると、権力者たちはいつの時代でも悪人であると再確認させられました。
こんな濃いキャラクターたちが魅力の作品なんですが、ストーリー展開や演出もこれまでの韓国サスペンスでは見れなかった要素が盛り沢山でした。
例えるなら前述した「ケイゾク」をはじめとする堤幸彦作品や、宮藤官九郎脚本の「池袋ウエストゲートパーク」のようなテイストがあり、サスペンスでありながらも悪役がコミカルであるとか、シリアスさとコメディの割合が絶妙といった感じなんです。
こういったタイプの作品は癖が強いので好き嫌いが分かれるところ。
何故だかスマホのアプリを使わないと話せないサンタや、ヒロインから常に雑に扱われるギョンス、同じくヨン局長から虐げられ続けるキム部長など、脇役が個性的かつお笑いキャラなのも堤作品やクドカン作品っぽいですよね。
そんなふざけた要素がありながらもストーリーには引き込まれますし、演出は上手く展開も小洒落ているなど、かなりエンターテインメント性の高い犯罪ドラマでした!
サスペンスらしからぬ音楽使いも絶妙で、作品を盛り上げるのにかなり役立っていたと思います。
まとめ:どこか日本的なセンスも感じた新感覚サスペンスドラマ!
“変人ヒロイン”ク・ギョンイと、”キュートな殺人鬼”ケイとの知能的かつコミカルな対決が魅力で、その奇抜なキャラクターはこれまでの韓国サスペンスには存在しないPOPさとユニークさを兼ね備えていました。
ありきたりな犯罪捜査ものに飽きた人にオススメしたい作品です!
最後に
個人的には非常に好みな作品だったのですが、本格派の推理ドラマやハラハラドキドキの展開がウリのサスペンスなどと比べると、どう考えてもかなり奇抜な作品に思えるかもしれません。
キャラクター設定などはマンガチックですし、コミカルなノリやエンタメ性が強いからか、どうやって犯行を行えたのかという説明やネタバラシといった推理ドラマ定番の見せ場がないんですよね!
ケイが天才だといってもどうやってそんな犯行計画を思い付いたのかや、協力者の手を借りながらもミスなく実行出来た訳などは語られておらず、そういった推理パートが好きな方からすると不満が残るかもしれません。
しかし、キャラクターの魅力という点では名前の知れた連続殺人犯と比べても劣るものではありませんし、頭がよく人の内面を見抜け、コミュ力も高く戦闘能力まで高いというハイスペックさはそれだけで魅力的というもの。
殺人犯なのに目立つキャラクターなこともあって、細かいことは気にせずそんなことも難なく出来ちゃうキャラクターなんだとして受け入れられるんですよね。
これは、キャラクター設定の上手さと、絶妙な演出と脚本があったからに他ならないと思います。
とはいえ、ケイの人物像についてはもう少し知りたかったところですし、サンタが何者だったのかや過去にギョンイとどう絡んでいたのかという点もハッキリせず、その点だけはモヤモヤしてしまいました。
最後の終わり方から見ても、ひょっとしたら続編のために謎を残したままにしているのかもしれませんけどね!