2014年4月に発生した韓国セウォル号沈没事故をテーマに、遺族の悲しみを再起の道のりを描いた感動のヒューマンドラマ!
主演は名優ソル・ギョング&チョン・ドヨン。
キャスト、あらすじ、感想などをまとめました。
(トップ画像公式ページより)
君の誕生日【韓国映画】キャスト一覧
2019年4月3日韓国にて公開(日本公開日2020年11月27日)
上映時間:120分
監督・脚本:イ・ジョンオン
製作総指揮:キム・ウテク
「トンマッコルへようこそ」
「グエムル漢江の怪物」「海にかかる霧」
「がんばれ!チョルス」など
【チョン・ジョンイル役】ソル・ギョング
事故で息子を亡くした父親。
【パク・スンナム役】チョン・ドヨン
ジョンイルの妻。
【チョン・イェソル役】キム・ボミン
ジョンイルとスンナムの娘。
【チョン・スホ役】ユン・チャニョン
事故で亡くなったイェソルの兄。
【ウチャンの母役】キム・スジン
スンナムの隣人。
【チョンスク役】イ・ボンリョン
ジョンイルの妹。
【イ・ヨンジュン役】パク・チョンファン
遺族支援団体代表。
【ウチャン役】タン・ジュンサン
スホを兄のように慕っていた隣家の息子。
【ソンジュン役】ソン・ユビン
スホの親友。
【ウンビン役】クォン・ソヒョン
スホの同級生。
本作は、数多くのヒット作の製作・プロデュースを手掛けてきたキム・ウテク製作総指揮による作品です。
キム・ウテクさんによる作品は製作総指揮だけでも沢山ありますが、エグゼクティブプロデューサーとしても「マラソン」「嘆きのピエタ」「新らしき世界」「7番房の奇跡」「新感染 ファイナル・エクスプレス」と、大ヒット作から賞レースに輝く作品まで幅広く手掛けています。
他にも沢山の名作を手掛けてきたスタッフが多数参加しています。
イ・ジョンオン監督は「オアシス」「シークレット・サンシャイン」「バーニング 劇場版」などを手掛けた巨匠イ・チャンドン監督のもとで経験を積んだ人物で、本作が長編デビュー作となります。
主演は「オアシス」のソル・ギョングさんと「シークレット・サンシャイン」のチョン・ドヨンさん。
二人は韓国を代表する知る名優として有名ですが、「私にも妻がいたらいいのに」以来、18年ぶりの共演ということで話題となりました。本作では息子を亡くしたことで絆を失ってしまった夫婦に扮しています。
チョン・ドヨンさんにいたっては、その素晴らしい演技が評価され釜日映画賞女優主演賞をはじめ、多くの演技賞を受賞しています。
共演は、キム・スジンさん、イ・ボンリョンさんといった名脇役をはじめ、今後活躍が期待される、キム・ボミンさん、ユン・チャニョンさん、タン・ジュンサンさん、ソン・ユビンさん、クォン・ソヒョンさんら学生役の若手俳優にも注目です。
さらに、特別出演として近年売れっ子のキム・ミンジェさんも登場します!
エンディングで流れる感動の曲は「ユン・ソネ/手紙」。
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君の誕生日【韓国映画】あらすじ
2014年に起きたセウォル号沈没事故によって最愛の息子スホ(ユンチャニョン)を失ったスンナム(チョンドヨン)は、残された娘と生活を送りながらも息子を失った悲しみから立ち直ることが出来ずにいました。
そんな中、ある理由から家族と離れて暮らしていたスホの父親ジョンイル(ソルギョング)が、事故後初めて迎えるスホの誕生日に合わせてスンナムの元へ訪れます。
しかし、スンナムは夫のことを酷く恨んでおり娘のイェソル(キムボミン)にも関わってほしくない様子。
遺族支援団体からスホの誕生会開催を打診されるもののスンナムは乗り気でないようで、隣人であるウチャン(タンジュンサン)の母と共にジョンイルに相談するのですが・・・。
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君の誕生日【韓国映画】みどころ
本作は、韓国の名優ソル・ギョングさんとチョン・ドヨンさんがW主演し、2014年のセウォル号沈没事故を題材としたヒューマンドラマです。
子供を亡くした親の苦しみを描いた作品というのはこれまでにもいくつも作られてきましたが、本作は個人だけでなく他の遺族や亡くなった子供の友人たちのことまで描いていて、事故の詳細についてはほとんど描かれていないのが特徴。
息子が亡くなったことを認めたくない母親、とある事実から家族と離ればなれだった父親、最愛の兄を失い自身もトラウマを抱えた妹、最高の友人を亡くしそれぞれに思い悩む同級生たち、そして事故により子供を失った他の遺族たちなど、一つの事故によって世界が様変わりしてしまった人々の苦悩と再生への道のりが感動と共に描かれています。
主演二人の素晴らしい演技力はもちろんながら、友人を失った子供たちを演じた若手俳優の活躍にも注目して欲しいです!
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君の誕生日【韓国映画】感想・評価
何か不幸が起きたときの悲しみ方は人それぞれですが、登場人物ごとに違う悲しみを描いたことで押し付けがましくなっていないのが良かったですね。
最初、スンナムのことは苦手に感じていました。息子を事故で亡くして以来、内に閉じこもり、遺された娘にツラくあたりがちなスンナム、周りから差し出される手を振り払いそれぞれの悲しみ方を理解出来ないスンナム。
しかし、自分だけが悲しいかのようなスンナムの態度は、そういう人もいると分かっていても理解に苦しみますし、遺族たちの集まりをバカにするような態度も見ていて気持ちのいいものではありません。
そしてスンナムの夫ジョンイルについても同様で、妻が精神的に参っていることも知らず、娘が水を怖がっているのにも気づけないなんて、夫としても父親としても酷い男だと思っていました。
とはいえ、亡くなった息子の同級生や親友、その親たちまで父ジョンイルのことを切らないというのは複雑で、それぞれに家庭の事情があるとはいえジョンイルの心情を思うと悲しくなるばかり。
しかし、夫が刑務所に入っている中、息子を失った悲しみの抱きながらも小さい娘を育てなくてはならないという状況は私たちの想像を絶するもので、心を病んでしまっても仕方ないというもの。ジョンイルにしても、思わぬタイミングで刑務所に入れられ、事故当時家族のそばにいれなかった父親としての苦悩、子供たちのことを深く知れていなかった悔やみは相当で、そんな自分の不甲斐なさから素直に悲しんでもよいのか分からなくなってもしょうがないですよね。
そんな感情を押さえた展開が続くからこそ終盤の誕生日会で号泣必死になりますし、感情を露にするジョンイルとスンナムにも感情移入出来る様になります。
確かに、”セウォル号事件”を題材にしたということで注目されながら、事故の詳細についてほとんど語られていないのはガッカリで、事故の問題点やそれが社会に与えた影響について知りたかったですし、その点を描かないのならば違う設定にして遺族の悲しみだけ描けば良かったんじゃないかと思ってしまいます。
しかし、”セウォル号事件”ということをなしにしてヒューマンドラマとして見たならば、遺された人たちについてだけを描くというのは正解ですし、事件の詳細を知りたいならドキュメンタリーの方がいいのかもしれません。
まとめ:最初は実際の事故を題材としたお涙頂戴の作品なのかと思っていましたが、残された遺族たちの悲しみと再起していく姿を描いた感動作でした。
クライマックスとなる誕生日会シーンは号泣必死です!
最後に
セウォル号事故とは、多くの人が亡くなった不幸な事故というだけでなく、政治も絡まった複雑な事件としても知られています。
そういう扱うには難しいテーマだけあってか、当時の政府や事件に関わった人たちの罪を追求したり、その背景について描く内容にはなっていません。
当初は事故の詳細が知れるものと思っていたので正直ガッカリしたんですが、遺族の心情だけにスポットを当てたことで素晴らしい感動作に仕上がっていました。
とはいえ、このようなタイプの作品は本作以外にもあるので決して珍しい内容ではないんですよね。
見ているときは雰囲気にのまれて大いに泣いてしまいましたが、冷静になってみるとかなりドラマチックな演出がされており、もっと事件についても描いてよかったのでは?と思うようになりました。
どちらのパターンもそれはそれでありですが、本作が泣ける映画なのは間違いありません!