是枝裕和監督、第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作。
ソンガンホ、カンドンウォン、ペドゥナ、イジウン(IU)、イジュヨンの豪華キャストで話題の映画です!
キャスト、女優、子役、あらすじ、韓国での反応や感想などをまとめました。
(トップ画像公式ページより)
ベイビーブローカーキャスト一覧
監督・脚本・編集:是枝裕和
撮影:ホンギョンピョ
「バーニング劇場版」
音楽:チョンジェイル
「イカゲーム」
上映時間:129分
メインキャスト
【サンヒョン役】ソン・ガンホ
クリーニング店を営みながら社金返済のためにブローカーをしている
【ドンス役】カン・ドンウォン
ベイビーボックス施設の職員でサンヒョンともにブローカーをしている
【ソヨン役】イ・ジウン(IU)
ベイビーボックスに子供を置いた母親
【スジン役】ペ・ドゥナ
プサン南部警察女性青少年チーム長。ブローカーを追いかける刑事。
【イ刑事役】イ・ジュヨン
プサン南部警察署女性青少年チーム刑事。スジンの後輩
子役
【ヘジン役】イム・スンス
施設の子供でサンヒョン一行とともにブローカーの旅をしている
【ウソン(赤ちゃん)役】パク・ジヨン
その他のキャスト
【児童福祉施設院長】ソン・セビョク
ドンスが育った施設の院長
【テホ役】リュ・ギョンス
サンヒョンと知り合いだったがチンピラになった青年
【ソンさん役】イ・ドンフィ
養子縁組しようとした最初の男性
【ユンさん役】パク・ヘジュン
養子縁組しようとした2番目の男性
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ベイビーブローカーあらすじ
古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョン(ソン・ガンホ)と、〈赤ちゃんポスト〉がある施設で働く児童養護施設出身のドンス(カン・ドンウォン)。
ある土砂降りの雨の晩、彼らは若い女ソヨン(イ・ジウン)が〈赤ちゃんポスト〉に預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。彼らの裏稼業は、ベイビー・ブローカーだ。
しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊が居ないことに気づき警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく白状する。「赤ちゃんを大切に育ててくれる家族を見つけようとした」という言い訳にあきれるソヨンだが、成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることに。
一方、彼らを検挙するためずっと尾行していた刑事スジン(ぺ・ドゥナ)と後輩のイ刑事(イ・ジュヨン)は、是が非でも現行犯で逮捕しようと、静かに後を追っていくが…。https://gaga.ne.jp/
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ベイビーブローカー韓国反応
2022年6月8日の公開日から2週間経った6月22日時点で観客動員数は116万人。
損益分岐点は150万人とされており、このままいけば無難に到達すると思われます。
↓こちらは映画の評価を書き込めるNaverのサイト。
評点は1週間前確認したときは7.4でしたが、下がっています。
韓国ネット上のレビューを訳しました。
高評価
・人間の内面にある純粋で道徳的な観念をよく表現している
・このような素材の映画が良く使うお涙頂戴的な演出はなく、淡々とメッセージを伝えているのがよかった
・ベイビーボックスへの賛否両論、未婚母への視線、両親の条件などなど多くの社会的なメッセージを含んでいる。
・評価が低くて退屈だというコメントが多くて心配したけど、俳優たちの演技に没頭しているうちに映画が終わった。キャラクターがなぜその選択をしたのか考えさせる映画。
・他人であってもお互いが家族になることができ、助け合いながら生きていける世界になってほしい
・家族というのは場所ではなくそばにいる人なのかな
・是枝監督ならではの感性が表現されている作品。穏やかで・・・是枝監督作品がとても好きで、今回もよかった。
低評価
・キャラクター設定と脚本が理想的過ぎて作為的。それを説明する構成が粗雑だ。
・日本語で書いた台本を韓国語に翻訳したものだから、自然でない文体が惜しい
・ペドゥナとイジュヨン(刑事の二人)の対話が良く聞こえないのは、監督と俳優の言語が違うために、監督が発音を正確に見ることができないからではないか
・監督の「万引き家族」に似てる
・散らばった感情線と事件は多いけど、全部整理されていない。
・正直、好評価が理解できない。どのポイントなの?
まとめ:映画評論家のコメントは悪くなかったものの、一般観客は退屈だという意見が目立ちました。
豪華キャストとカンヌで賞を受賞したことなどで期待が高すぎたこともその理由の一つと思われます。
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ベイビーブローカー感想レビュー
タイトルのインパクトもあってか、もっと悪人が登場したりする犯罪映画なのかと思っていましたが、良い意味でも悪い意味でも裏切られた作品となりました。
是枝作品の中だと「歩いても歩いても」「奇跡」「海よりもまだ深く」といったじんわりくる家族のヒューマンドラマが好きな私にとっては、社会問題要素が強いのは少し苦手なんですが、本作はテーマの割には説教臭くもなく、感動を押し売りするようなものでもなかったので好感が持てました!
赤ちゃんを売る相手を見つけるために各地を車で巡るロードムービー的な展開や、その過程で出会った他人たちと家族のような関係になっていくヒューマンドラマ要素なども好みで、人間味あふれるキャラクターたちを演じた豪華俳優陣たちも期待以上の存在感を発揮していて素晴らしかったですね。
本作は、子供を捨てる母親、犯罪者を逮捕するためにある意味傍観者となる警察官、そして捨てられた子供を利用してお金を稼ぐブローカーに、そのブローカーたちに寄生するヤクザ、さらに養護施設の職員やそこで暮らす子供たちと捨てられた子供の父親とその妻など、子供が捨てられるという問題を子供の両親だけでなく、その関係者や社会にまで拡げて描いています。
そうすることで社会のシステムや人としての問題だけでなく、その全てに責任があると感じさせてくれる作品になっているんです。
ですが、それを社会派作品のように描いていないのは是枝作品らしく、良い意味で淡々と描いているのは日本でも韓国でも同様だったと思います。
日本映画と較べるとエンタメ性が高いですしテーマもシビアではあるんですが、韓国映画と比べると比較的マイルドな内容と言えます。
つまりこのテーマを扱っているにしてはコミカルさもあるなど日本映画っぽくないのですが、韓国映画と比べると刺激的ではないともいえ、キャストの豪華さと話題性の割に韓国でヒットしなかったのはそこが要因なのこもしれませんね。
途中で眠たくなるようなところも正直ありましたし、犯罪組織とスリリングなやり取りやアクションなども無いので、どこか牧歌的というかシリアスさが伝わりにくいとも言えます。
しかし、この日常の中で描かれているからこそ現実なのであり、そういったエンタメ的展開を無くすことで私達の身近にあるものだと分かるんですよね。この辺りはやはり日本人監督的といえるでしょう!
ただ総合的には中途半端にも思え、日本映画と韓国映画の特徴を合わせた作品を目指したのかもしれませんが、やはり日本的なバランスになっていたと思いましたね。
それに取ってつけたようなハッピーエンドにはならず、それぞれが責任を取りながらも子供たちが幸せになれる道を選んだのは好みでした!
韓国だと悲劇的な結末となり、その衝撃は後を引くので印象も強いのですが、今の心情とマッチするのは本作のような結末かと。
まとめ:是枝作品らしさの中に少しの韓国映画要素を盛り込んだ秀作!
ロードムービーとしては少し退屈だったり、刺激の少なさから韓国映画としては物足りなく感じるところもありましたが、誰か一人に感情移入するのではなくこの問題と社会を俯瞰から捉えた見応えのある作品でした。
最後に
韓国人俳優の演技力の高さを改めて痛感させられた作品!
ペ・ドゥナさんはこれ作品である「空気人形」をはじめ「リンダリンダリンダ」にも出演し日本映画界では馴染みのある女優さんですが、本作のような抑えた演技力が必要な作品に出演したからこそ他の俳優陣の新たな一面を知ることが出来ました。
どうしても韓国映画における登場人物は感情的になりがちですからね。
そういった意味では終始落ち着いたソン・ガンホさんやカン・ドンウォンさんを見れるのは珍しく、それだけでも見る価値はあると言えますかね。
正直、是枝監督としては新しい作品だとは言えませんが、これをきっかけとして日本と韓国の合作が増えるのなら記念碑的な作品になるかと!!