EXOのD.O.主演、 「サニー永遠の仲間たち」のカン・ヒョンチョル監督作品。
朝鮮戦争当時の捕虜収容所で結成されたタップダンスチーム”スウィング・キッズ”の活躍と戦争の悲惨さを描いたエンタメ作品!
キャスト、あらすじ、感想などをまとめました。
(トップ画像公式ページより)
スウィングキッズ【D.O主演韓国映画】キャスト一覧
2018年12月19日韓国にて公開
(日本公開日2020年2月21日)
観客動員数:147万人
上映時間:133分
監督、脚本:カン・ヒョンチョル
「過速スキャンダル」
「サニー 永遠の仲間たち」など
【ロ・ギス役】ド・ギョンス(EXO D.O.)
朝鮮人民軍戦争英雄の弟。スウィングキッズのトラブルメーカー。
【ジャクソン役】ジャレッド・グライムス
黒人下士官。元ブロードウェイタップダンサー。スウィングキッズのリーダー。
【ヤン・パンネ役】パク・ヘス
スウィングキッズの無認可通訳士。四か国語を話せる。家族を養うため収容所に出入りしている。
【カン・ビョンサム役】オ・ジョンセ
朝鮮民間人捕虜。舞踏師。スウィングキッズメンバー。生き別れになった妻を探している。
【シャオパン役】キム・ミノ
中国人捕虜。天才的なダンスの実力を持つスウィングキッズメンバー。しかし栄養失調と狭心症のため長く踊れない。
本作は、大ヒット映画をいくつも手掛けてきたカン・ヒョンチョル監督によるの4作目の長編作品です。
デビュー作「過速スキャンダル」が観客動員数800万人超え、2作目「サニー 永遠の仲間たち」も700万人超えと立て続けにヒットを飛ばしてきた監督だっけあって本作も期待されていたのですが、本作の観客動員数は147万人という振るわない結果となってしまいました。
しかし、観客動員数こそ振るいませんでしたが、青龍映画賞をはじめとする国内の賞レースでは監督賞や編集賞などをいくつも獲得しています。
本作で使われている音楽も特徴的で、タップダンスをするシーンなどを中心に流れるジャズをはじめ、デヴィッド・ボウイやビートルズまでと、この時代にはなかった曲が印象的なシーンで使われているのは監督のなせる技だなぁと思いました。
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スウィングキッズ【D.O主演韓国映画】あらすじ
1951年の朝鮮戦争中の巨済島捕虜収容所では、新しく赴任した収容所の所長がイメージアップ戦略を練っていました。
そんな中、隠れて行っていたダンス大会の会場で火事が発生してしまい、その責任者であった黒人下士官ジャクソン(ジャレッド・グライムス)は所長よりダンスチームを結成するよう命じられます。
最初は気乗りのしないジャクソンでしたが、朝鮮人民軍のトラブルメイカーロ・ギス(ドギョンス)、4ヶ国語をあやつる一般人ヤン・パンネ(パクヘス)、生き別れとなった妻を捜すために有名になりない民間人捕虜カン・ビョンサム(オジョンセ)、ダンスの実力はあるも栄養失調と狭心症という中国人捕虜シャオパン(キムミノ)らに注目し、寄せ集めのダンスチーム”スウィング・キッズ”を結成することに。
所長は大々的なデビュー公演を行い、記者たちへ向けて収容所をアピールしようとするのですが、国籍の違いや言葉の問題をはじめ、人種差別やダンスへの理解のなさにより様々な問題が降りかかることになり・・・。
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スウィングキッズ【D.O主演韓国映画】みどころ
本作は、「サニー永遠の仲間たち」のカン・ヒョンチョル監督が、大人気K-POPグループEXOのメインボーカリストD.O.を主演に迎えて製作したダンスをモチーフにした作品です。
戦時下の捕虜収容所という場所を舞台に、朝鮮戦争の英雄の弟として知られるロ・ギスが葛藤しながらもダンスに魅了されていく様を描いている本作は、ギスがダンスに魅了されるきっかけを作った黒人下士官ジャクソンをリーダーに、四か国語を話せる女性パンネ、生き別れになった妻のために踊るビョンサム、そしてダンスの実力はスゴいのに栄養失調のため長くは踊れない中国人シャオパンというユニークなメンバーたちとスウィング・キッズを結成し、コミカルなやりとりと素晴らしいタップダンスを披露していきます。
国籍もダンスの実力も違う5人がダンスを通して絆を深めていくだけでなく、人として成長したり、戦争に対する考え方にも変化が起きたりするなど、深いメッセージ性もある作品となっています。
特に、スウィング・キッズ5人による公演シーンは本作一番のみどころであり、ジャズの名曲とタップダンスとの見事な融合も必見となります!
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スウィングキッズ【D.O主演韓国映画】感想・評価
本作は、コミカルかつハートフルなミュージカルコメディ作品だと思っていたのですが、それと同時に戦争はそんな甘いもんじゃないと知らしめるような作品でした。
作中には戦争というものを乗り越える過程が描かれていますし、米兵と朝鮮人民軍である主人公との奇妙な関係や、人種の垣根を乗り越えての友情なども描かれていました。戦争という状況下で国を越えた友情を描くというテーマは映画「トンマッコルへようこそ」が印象的でしたが、トンマッコル~がファンタジックだったのに対して、本作はコミカルを装いつつも非常に現実的で重い内容の映画でしたね。
とはいえ、ケンカになるかと思いきやダンスバトルがはじまったり、非常にユニークなバンドマンとヒロインによる歌唱シーンなどコミカルな演出も多く、思った以上に明るいテイストの前半でした。
例えるなら「シャルウィーダンス?」と「スウィングガールズ」を足して、「トンマッコルへようこそ」で割ったような感じ?
しかし、中盤以降は予想以上に重苦しいシーンが多かったので、ダンスシーンになってテイストが急転するのには違和感を覚えましたし、スウィングキッズのメンバーたちの成長や友情ドラマもあまり描かれておらず、登場人物たちに共感出来づらかったというのも残念でした。
そして、散りばめられた伏線たちが殆ど回収されずに終わってしまうのも納得がいかず、最後で描かれるのではと期待していた私としてはガッカリさせられました!
収容所に居た可愛らしい少年がラストシーンで老人となって出てくるかもとか、主人公に命を救われた米兵やスパイだった男のその後はどうなったのかなど、当然触れられるだろうと思っていたものがまったく出てこないんです。
クライマックスも予想外のものだったですし、顛末も期待外れとなんとも後味の悪い作品でした。
まとめ:捕虜収容所という特殊な場所で、言葉も通じない人たちがタップダンスチームを結成するという設定は面白かったのですが、キャラクターの背景やその後の顛末が描かれておらず全体的にまとまりがなかったように思いました。
ダンスシーンやコミカルなケンカなどみどころも多い反面、匂わせるだけで何も描かないことも多く見ていてモヤモヤさせられました。キャラクターに色々な設定を付けすぎたのが失敗ですね!
最後に
本作には、私が期待したようなダンスを通しての友情ドラマやスポ根的な展開、運命的な再会にチームメイトとの恋など、そういったものがことごとくありませんでした。私としてはこのような王道展開の作品だと思っていたので、意外にもコミカルな前半の展開に驚きはしたものの、いい意味で裏切られたと思っていたんです。
しかし、中盤からは過激な場面が増えてきて、「そうだ、ここは捕虜収容所だったんだ」と思い出すことに。
もちろん戦時中なのでそんなことがあってもおかしくないんですが、あまりにも色んな要素が詰め込まれ過ぎていて肝心のスウィングキッズのメンバーについて詳しく描かれていなんです!
笑いありダンスあり、アクションや感動もあるのはいいんですが、そのどれもが中途半端にしか描かれておらず、賛否両論あるラストの展開にそこまで驚かなかったのも、登場人物に感情移入出来てなかったからだと思います。
様々な要素を詰め込むのが韓国作品の特徴の一つではありますが、本作の場合はメッセージ性を重視したいのか、エンタメ作品にしたいのかをハッキリさせた方が良かったと思います!