2019年公開「パラサイト半地下の家族」はポンジュノ監督にとって7番目の長編映画。
父・母・息子・娘からなる二組の家族を中心としたストーリーで、家族構成は似ているが全く異なる環境にある二つの家族の動線が偶然重なったときに描かれる奇妙な風景を扱っています。
本作は世界中で評価を受け、それと共に俳優たちにも注目が集まりました。
キャスト一覧やキャスティングの理由、インタビュー内容をまとめました。
※この記事にはネタバレが含まれます!!ご注意を!
(トップ画像公式ページより)
韓国映画「パラサイト半地下の家族」監督
監督:ポンジュノ
ポンジュノ監督は細部にまで詳細に演出することで有名。
それは「ポンテール」と呼ばれており、出演者が驚くほどだそうです。
例えば牛肉が出てくるシーンがありますが、肉の状態や時間に応じた焼き加減まですべてに神経をすり減らしているんだとか。
監督は2013年冬頃
「あまりにも環境が違う家族、日常で交わることがない二つの家族が出逢ったら何が起こるだろうか」
という話を友人にしたそうで、
「豪邸もあればこじんまりした家もある。私たちの生活の中で裕福な人と普通の人が出逢う機会はあまりない。境界線を引いているわけではないのに、暗黙のうちに空間が分けられている」
というのが物語の出発点でした。
この話は「デカルコマニー」という仮題で温め続け、のちにパラサイトとなったのでした。
映画公開されるや韓国では大ヒットとなりましたが、当時のインタビューで
「カンヌ映画祭の受賞の可能性は低いだろう。ものすごい監督の方々がいらっしゃる中で隙間に入れてもらっただけで光栄。ただ、俳優たちの受賞の可能性は高いと思う。あまりにも韓国的なニュアンスに満ちた内容だから、外国の方々がこの作品を100%理解はできないだろう。一方で矛盾しているが、二つの家族の両極端な状況は世界中の普遍な姿。外国人の方にも楽しく見ていただけると思う。」
と語っていました。
プロフィール詳細はこちら↓
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「パラサイト半地下の家族」キャスト
シナリオを描きながら自然とキャストが決まっていったという監督。
それぞれのキャスティングの理由やインタビューをまとめました。
【半地下の家族・父親役】ソン・ガンホ
ポンジュノ監督&俳優ソンガンホの組み合わせはポンソンコンビ、ホホブラザーズ(名前の最後にホがつくため※ジュンホと書いてジュノと読む)などと呼ばれ、
2003 殺人の追憶
2006 グエムル漢江の怪物
2013 スノーピアサー
2019 パラサイト
と、作品を共にしてきました。
ソンガンホさんはこのシナリオを受け取ったときの衝撃と感動は「殺人の追憶」の時と似てると思ったとか。
キャストたちはほとんどが初共演で最初はよそよそしかったものの、飲みニケーションを経て親睦を深めたそうです。
ソンガンホさんは海外メディアのインタビューで
「パラサイトを通じて芸術家ポンジュノの進化、韓国映画の成熟などが表現できてうれしい。」
「ポンジュノの世界はすべて計算されていて構成されているから、俳優としてはとても心地よく演技ができ、そんな環境を作ってくれる。一番センスが光ってると思うのは食事の時間を守ること。(共演者爆笑)ご飯の時間を厳守してくれるから、俳優たちはとても幸せな現場だった」
ソンガンホさんの発言はいつもウィットに富み、とても真面目な顔で冗談を言うので会見はいつも笑いに包まれていました。
ソンガンホプロフィールはこちら↓
【半地下の家族・母親役】チャン・ヘジン
半地下家族の母親で、国体ハンマー投げの銀メダリストという役。
2015年ユンガウン監督映画「わたしたち」の母親役を務めたチャンヘジンさんは、劇中一瞬顔をゆがめるシーンがあり、ポンジュノ監督はその表情が気に入ったとのことでした。
監督が実際に会ってみるとチャンヘジンさんは思ったより痩せていたとか・・・
「もう少し太ったらソンガンホさんの奥さん役ができますよ」と言われ、自信がなかったチャンヘジンさんは他の人にお願いして欲しい旨を話すと「あなたにお願いしたいんです」と言われ起用されました。
毎日1日6食食べて15㎏体重を増やし、ご自身でも画面に映る自分のお腹に驚いたそうです。
「パラサイト」撮影中はいくら眠くても眠ることができないほど夢中で幸せだった、と回想していました。
実はお金持ちの父親役イソンギュンさんとは大学の同期だそうです。
チャンヘジンプロフィールはこちら↓
【半地下の家族・息子役】チェ・ウシク
ポンジュノ監督は映画「巨人」をみて、チェウシクさんに惚れ込んだとのこと。
チェウシクさんはこうしてポンジュノ監督映画「オクジャ」に出演。
映画の試写会後の打ち上げで監督から「この後どうするつもり?」と聞かれ「特に予定はないから運動するつもりだ」と答えると「運動は後にして、一緒に作品をやらないか」と誘われパラサイトの出演となったとのでした。
大先輩ソンガンホさんとの共演は比重の大きい役割であったこともあってとても緊張しましたが、本当のお父さんのようにリラックスさせてくれ、現場は本当の家族のようにとても和やかな雰囲気だったとのことです。
パラサイトの世界的ヒットからキャストたちは何度も会見を開いてインタビューに応じました。
チェウシクさんは緊張のためかうまく話せないことが多く、たどたどしい発言やあたふたするたびに笑いが起き、共演者たちにとてもかわいがられているようでした。
チェウシクさんは共演者たちに「実際の性格と役が最も近い」人に選ばれています。
チェウシクプロフィールはこちら↓
【半地下の家族・娘役】パク・ソダム
ポンジュノ監督は映画「オクジャ」のミジャ役にパクソダムさんを考えており、ミーティングだけはしたものの、すでに20代半ばだというのに10代半ばの役は難しいだろうとのことで見送ったそうです。
3年後再びパクソダムさんに連絡し、今度の映画はソンガンホさんの娘役で家族の話だと紹介したのでした。
監督はパクソダムさんについて
「俳優の武器の一つであるセリフの発声が特にいい。ある瞬間、声と眼差しだけで詳細をとても正確に、鋭く表現する」
と絶賛しています。起用の理由は兄役のチェウシクさんと似てるからかなと思いましたが、そうではなかったようで、監督は後から画面を見て似てると気づいたんだそうです。
パクソダムさんは
「監督は私をいつも勇気づけてくれた。現場はとても楽しく幸せだった」
と話していました。
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【裕福な家族・父親役】イ・ソンギュン
ポンジュノ作品は初めて。
憧れの監督からこの役のオファーをもらった時、とても嬉しくて信じられない気持ちだったそうです。
引き受けた後に台本を読み、思ったより分量が少なくてちょっとがっかりした(笑)という話をしてました。
半地下家族の母親役、チャンヘジンさんとは大学の同期。
配役が決まって電話で共演を喜んだのだそうです。
プロフィールはこちら↓
【裕福な家族・母親役】チョ・ヨジョン
チョヨジョンさんもポンジュノ作品は初めて。
オファーをもらった時、ポンジュノ監督作品ならどんな小さな役でもやりたい!と思っていたら、とても大きな役を任され、嬉しかったのだそうです。
元々知られた女優さんではありましたが、演技派のイメージはなく、今回の奥様役により世間の高い評価を受けました。
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【裕福な家族・娘役】チョン・ジソ
それまで本名で活動していましたが、映画「パラサイト」からチョンジソの芸名で出演しています。
本作の中で隠された感情が多いキャラクター。
日記にはどんなことが書かれていたのか、弟の誕生日パーティで起こった悲劇のあとどのように過ごしたのか、などなど映画では省略されています。
オーディションで選ばれ、この作品で脚光を浴び、期待の若手女優として株をあげました。
チョンジソさんは中学生のとき、父親役のイソンギュンさんとCFで親子役で共演したことがありました。
プロフィールと共演CFも紹介してます↓
【裕福な家族・息子役】チョン・ヒョンジュン
2011年生まれで2019年映画公開当時、満8歳の小学校2年生。
安定した演技力と整ったルックスで現在注目の子役No.1となりました!
撮影スケジュールは子供であるチョンヒョンジュン君の撮影が一番早く終わるように組まれたそうです。
記憶に残る先輩方は誰か?と聞かれ、
「休み時間にムングァンおばさん(家政婦役のイジョンウンさん)が遊んでくれて、リラックスできた」
と話しています。
プロフィールとかわいいインスタはこちら↓
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【家政婦役】イ・ジョンウン
ポンジュノ監督はイジョンウンさんの舞台を見て、映画「マザー」の端役にキャスティングしました。
その縁から映画「オクジャ」では声優に起用。
そしてパラサイトのシナリオを描いたときからイジョンウンさんを思い浮かべながら、家政婦のキャラクターを具体化していったのだそうです。
イジョンウンは日本のあの女優が好き!↓
【地下室の男役】パク・ミョンフン
ポンジュノ監督はパクミョンフンさんの独立映画「灰の花」の酔った演技を
「すばらしい。酔った演技は世界最高だ。酔い加減を酒の種類や時間に応じて変える演技は圧巻」
と称賛し「パラサイト」にキャスティング。
存在そのものがネタバレになってしまうため、出演する際には秘密保持契約書を書き、出演は家族にも知らせなかったそうです。
「2か月も全く家に帰らなかったから、家族は何か大きな映画を撮ってるようだと感じたようだ」
と話していました。
パラサイトの撮影は5月~9月まで行われ、パクミョンフンさんの分量は7月からだったそうで、1か月前から地下セット場で寝起きしたりして、役作りしたとか・・・
ビジュアル面では2か月間日焼けし、左側に八重歯をつけ、8㎏減量。
存在を知られないように、パラサイトの会見には出てくることはありませんでした。
カンヌ映画祭では2階席に隠れて拍手を送っていましたが、アカデミー賞では世界中の観客の前に立ち脚光を浴びました。
ちなみに「パラサイト」で家政婦で妻役だったイジョンウンさんとは2005年に舞台で共演して以来、親しい仲だそうです。
パクミョンフン闘病中の父へのポンジュノ監督からの粋なはからいとは?↓
その他:パク社長の運転手役
パクグンロクさんはポンジュノ監督映画「オクジャ」で警察官役を演じており、その縁でパラサイトへの出演が決まりました。
「小さな役だが出演できるか?」とポンジュノ監督から電話で直接交渉されたそうです。
ポンジュノ監督はパクグンロクさんについて
「演技が上手いなと思ってお茶に誘った。独立映画界ではハジョンウだ」
と話しています。
パクグンロクプロフィール詳細はこちら↓
特別出演:【友達役】パク・ソジュン
半地下家族の息子役チェウシクさんの友達役として出演したパクソジュンさん。
実際にお二人はファンならだれでも知ってるほど大親友の関係で、お互いのインスタにたびたび登場しています。
ポンジュノ監督は
「ミンヒョク(パクソジュンの役)は他の世界から来た人。石を持ってくること自体も不合理じゃないか。ギウ(チェウシクの役)に影響を与える人でもある。だからパクソジュンのように存在感のある、記憶に残る人が必要だった」
と話しています。実際に二人は有名になる前からの仲であるため、自然な呼吸で撮影はとてもスムーズだったそうです。
パクソジュンプロフィール詳細はこちら
最後に
ポンジュノ監督はどういう点を見て俳優を選ぶのか?と質問されたことがありました。
「俳優を選ぶというのは語弊があって、依頼しているんです」
と訂正したうえで、
「正直言うと演技派の俳優。演技力が一番でそのうえで、キャラクターとのシンクロ率をみている。」
との回答でした。
映画監督は一般的にキャラクターに合う人を探すのに何年もかかったり、オーディションを何度もしたりするのだとか。
ポンジュノ監督は何年も日ごろから独立映画や短編映画、演劇などで色んな俳優さんをみているのだそうです。
次の作品へ出演依頼したい俳優さんはすでに決まっているかもしれませんね!
パラサイトの感想まとめ
監督
父役
母役
娘役
半地下一家・父親役
半地下一家・母親役
半地下一家・息子役
半地下一家・娘役
半地下息子の友達役
家政婦役
家政婦の夫
半地下の家の間取りや家賃はどのくらいなの?↓