2018年10月1日、日本人のノーベル賞受賞は韓国でも速報で大きく報道され、本庶佑教授の研究内容や会見、生い立ちなども記事になっています。
そしてさまざまな観点から「なぜ韓国人は受賞できないのか」についてが議論されています。
ノーベル賞韓国人候補者と、日本人受賞に対する韓国人の反応についてもいくつかの報道を翻訳し要約しました。
コンプレックスや嫉妬を感じているのでしょうか?
ノーベル賞韓国人候補者
韓国研究財団はノーベル賞候補者として
【物理学】
・米ハーバード大学キム・フィリップ教授
・米ラトガース大ジョンサンウク教授
・成均館大のイ・ヨンヒ教授、
【化学】
・ソウル大ヒョンテクファン教授
・蔚山科学技術院のキム・グァンス教授
【生理医学】
・延世大イソグ教授
を候補に挙げていますが、海外の専門機関の予測候補に韓国人はいませんでした。
さらに
【平和賞】
・文在寅大統領
が選ばれるのではないかという期待が高まっています。
4・27板門店の南北首脳会談をはじめと三回にわたる首脳会談を通じて、北朝鮮の非核化と韓半島の平和などを成功に導いたという評価を受けているためです。
日本人受賞について韓国の報道
2018年10月1日、本庶佑教授のことや研究内容について多くの報道があり、関心が寄せられています。
ノーベル賞強国日本!http://news.tvchosun.com
それとともに、なぜ韓国では受賞できないのか、について日韓を比較する記事も多く見られました。
23対0、日本と韓国のノーベル科学省受賞者の比較である。
日本は今年まで総23人のノーベル科学賞受賞者を輩出しているのに対して韓国はまだ一人もいない。
これまで経済発展のための基礎科学ではなく、応用科学に焦点を当ててきたからだ。
近年政府が基礎科学研究院を設立し、年間1兆4000億ウォンの基礎科学分野研究費を支援するなど、投資を増やしたのは喜ばしいことだ。
しかし日本の研究開発投資は国内総生産比3.49%で、経済協力開発機構OECD加盟国平均(2.4%)の1.5倍の水準では韓国とはまだ大きな差を見せている。
専門家たちは日本がこのように基礎科学分野で相次いでノーベル賞を受賞することができる理由について
・基礎科学の集中的な投資を通じた長期的研究に没頭できる安定した環境があること
を挙げている。
韓国研究財団が発行した「ノーベル科学賞総合分析報告書」は、日本のノーベル科学賞を多数輩出した背景について
・未来を見据えた研究課題の選定など政府レベルの全面的な研究費支援
・子供のころから科学技術への興味と関心を高める
・若い時から安定した研究を行うことができる研究環境を提供
・留学や海外の研究活動の経験
以上の項目が挙げられると分析している。
韓国研究財団政策チーム長キム・ヘド氏は
・国内ノーベル賞受賞のためには、長期的な次元で将来を担う学生の思考の多様性を呼び覚まし、開放的融合的な関心と意欲を起こさせる教育戦略が必要
・未来のノーベル賞受賞者候補の若手研究者が可能な限りの能力を発揮できる研究環境の整備のために、人材システムの改革や研究費の着実な措置、科学技術イノベーションシステムの構築など政府レベルで必要な努力を体系的かつ総合的にしていくことが重要
と語っている。
日本は19世紀末、現代科学の胎動期にヨーロッパと共に始動した国だ。
ノーベル賞は基礎科学の安定した関心と投資によるもの。しかし1960年代韓国は基礎ではなく実用的な科学を選択した。
基礎科学への投資は勝算がないと判断したためだ。経済力の向上に役立つ技術に投資しようと選択をしたものであり、その選択は正しかった。
今経済的に先進国隊列に並び、今後人類のために貢献できる研究をすることが必要になった。
韓国人の反応、日本の受賞に嫉妬?
日本人受賞者が出るたびに、韓国でも話題になりますが、コンプレックスや嫉妬があるかないかといえば、それはきっとあるでしょう。
ただ、韓国人受賞者がゼロという圧倒的差を前に、単純に比較できないという現実がありそうです。
日本は学ぶ点が多い。イイネ1482
学ぶものは学ばないと 毎年劣等感だけ感じていても日本に追いつけない。イイネ565
一部政治や歴史問題と絡めて過激批判をしている書き込みもありましたが、それにはイイネや同意ボタンが押されておらず、素直におめでとう、うらやましいという内容がほとんど。
そして「すぐ隣の国なのになぜ韓国はゼロなの?」という疑問にたどりつくようで、韓国の教育の問題点などを挙げている書き込みが多く見られました。
韓国のコラム
ちょっと古いんですが、2013年の雑誌ウーマンセンスに「日本でノーベル賞受賞者が多い理由」という面白いコラムがありました。
日韓のこの差についてほとんどの報道が「韓国政府が基礎科学に投資しないこと」を問題視している中、このコラムは別の視点から語っていたので要約します。
2008年ノーベル物理学賞を受賞した南部教授は「物理学の醍醐味はパズルと同じでなぞなぞを解くおもしろさだ。小学校の科学の時間が一番面白かった」と語った。
その言葉通り、日本は小学校のころから科学教育に多くの時間を割く。
韓国では科学教育が教室の中でだけ行われるが、日本では野外で多様な体験を通じて科学の興味と関心を持てるようにしている。
例えば新学期になったら子供たちに花壇で花やさつまいもなどを植えさせ、1年間水をやり育てさせる。子供たちは芽が出て、花が咲き、葉が落ちる過程を見守りながら自然に植物に関する関心を持つようになる。
そして自分が育てたさつまいもで調理実習もする。夏はカブトムシを育て、えさをやり、観察する。
休みの日は無料の科学体験教室なども開かれる。
このように子供のころから科学はひとつの面白い遊びとして認識していく。
決して理論ではなく、体験を通じて子供たちは科学と接する。
このように科学に興味を持った子供たちが日本の科学を背負い、ノーベル賞受賞となるのだ。
韓国も子供たちが科学の魅力を感じることができるように、教育システムをかえるべきではないか。
韓国と日本の教育に大きな差がありそうですね。
最後に
韓国人受賞者がいないことについてせっかちな国民性に問題がある、という意見もありました。
個人的には予算投資の問題よりそちらが大きいかなと思います。
これについてはこちらで詳しくまとめてありますので参考にしてください。↓↓
韓国在住暦15年で現地で育児中の筆者が、韓国の教育の問題点についてガッツリ語っています。
ノーベル賞2019年、今年の韓国の反応は?