韓国ドラマといえば「出生の秘密・ヒステリックなライバル・ドロドロ展開・都合よく記憶喪失と交通事故・何かあったら海外へ・・・」といったストーリー展開がワンパターンで、はまりやすいけれども飽きやすいという傾向がありました。
ところが近年、ジャンルが多様化・融合化していて、韓国ドラマが新しい境地を迎えている感じがします。
それにはどんな背景があるのでしょうか?
視聴率が当てにならなくなってきたのはなぜでしょうか?
視聴率の低下
近年のテレビドラマの視聴率の低下は日本のみならず韓国も同様です。
とはいっても、日本ほどの低視聴率ではなくまだ20%を超えてくるものはあるのですが、そのほとんどは50話以上ある週末ドラマや100話を超える連続ドラマで、20話前後のミニシリーズにいたっては20%行くのが年に1本あるかないかのようです。
その殆どが10%台で、たとえ大物俳優が出演した作品でも一桁の視聴率ということも普通になってきています。
定番のメロドラマや家族ドラマは根強い人気があるようで、高視聴率をとる傾向にあるようですが、じゃあそれがドラマとして出来がいいのかと言えばそうではなく、習慣で見ているのかお決まりのパターンが好きなんでしょうとしか言いようがありません。
ケーブルテレビの台頭
そういった作品は地上波のテレビ放送作品ですが、ここ数年で視聴率がどんどん上がっているケーブルテレビ(チャンネル)というものもあります。
韓国のテレビはアメリカのそれに近く、殆どの家庭でケーブルテレビに加入しています。
チャンネル数もかなり多く、月付きの利用料も安いのだとか。更に追加料金を払えば再放送や映画なども見れるため、日本のようなレンタルショップがないのもそういうことからなんですね。
じゃあ、そんなにチャンネル数があるとケーブルテレビのドラマなんて視聴率がとれそうにありませんよね?
確かに最初は1%いけば大成功という時代もありましたが、「応答せよシリーズ」などの成功もあり10%以上の視聴率をとることもあるのが現在のケーブルテレビドラマなんです。
ケーブルテレビの特徴
地上波だと色々と規制があるドラマ制作ですが、ケーブルだとそれらも緩く地上波とは違ったタイプの作品が作れる・見れるのが一番のポイントだと思います。
日本で韓国ドラマを見る際に、どの時間帯にどのチャンネルで放送されてたかなんて気にしませんが、これまでになかった作品や、韓国ドラマの定番要素が薄い作品などの大半はケーブルドラマだと言えるでしょう。
ラブコメに定番の悪役が登場しない、そもそもライバルがいない、ヒステリックな女性も出てこなく、親の干渉も存在しない。
そういう作品はこれまでの地上波ドラマではごく少数の作品でしか見れませんでしたが、そういうありきたりに飽きた方に受け入れられてるのがケーブルドラマなんですね。
ポータルサイト用ドラマ
視聴率ではなく再生回数などで判断するポータルサイト発信のドラマもあります。
最初は有料サイトなどから世界同時配信され、のちのち見れるサイトが増えていくドラマもあり、大きな市場となる中国をターゲットにした作品が多いのも傾向です。
韓国特有の要素を入れすぎるといろんな国で受け入れられないこともあるため、非常にシンプルな恋愛ドラマだったり、国民性を強く打ち出さないものが多い印象があり、普段柑個置くドラマが苦手な人でも見やすいのがこのタイプ作品ではないでしょうか。
韓国発信のドラマであっても、中国や台湾の方が再生回数が多くなることも多く、国内の知名度だけで作品が判断できないものもあるんですね。
ケーブル、ポータルサイトの影響
こういった地上波以外の作品が高評価を得ると、地上波のドラマにも影響は出てきて、昔ほどドロドロとした展開や、これでもかといった悪役の出番はどんどん減ってきてるように思います。
そのような定番の要素が見たいのならば、週末ドラマや連続ドラマを見るしかなく、それらが未だ高い視聴率がとれるのも一定数以上の固定ファンがいるからなんですね。
確かに、ドラマ一本当たりの視聴率は低下していますが、作品数自体は増えており、それそれのニーズに合わせた多種多様なドラマが作られるようになったと言えるでしょう。
日本のように作品数自体が減って、視聴率が悪いからと放送話数が減らされてるのとは明らかに違うのが韓国のテレビドラマ界です。
ジャンルの多様化
ケーブルドラマの出現以降、韓国ドラマは多様化してきました。
全てのドラマが日本で見れたわけではないので、この意見が正しいとは限りませんが以前の韓国ドラマは何種類かのパターンのアレンジされたものばかりだったように思います。
恋愛ドラマに、愛憎劇や出生の秘密、事故、記憶喪失などを盛り込んで最後にはハッピーエンドか、誰かが死ぬパターンのバッドエンド。サスペンスドラマに恋愛要素も含め、上記のような要素を盛り込んだもの。家族ドラマに、同じ様な要素を盛り込んだもの。
そして定番の時代劇と、この4パターンをアレンジしたものがほとんどだった印象です。
しかし現代ではこれらのパターンとは違ったドラマが殆どと言えるほどになってきていて、色んな要素を入れるという意味では同じでも、恋愛ドラマにSF要素やホラー要素、さらにサスペンス要素も入れて二つのジャンルのドラマを一つの作品内で同時進行するものや、反対に恋愛なら恋愛だけに特化したもの、サスペンスに特化したものなど、特定のジャンル好きに絞ってのドラマというものも評価が高い傾向にあります。
ドラマの作り方、リメイク作品など
韓国ドラマはアメリカのそれと同じように、視聴者の反応を見ながら制作することに特徴がありました。
週に2回以上放送されることもあり、日本のドラマでは考えられないほどの過密スケジュールで、放送話数も反応を見て増減されるものも多くあります。
日本も視聴率が悪く話数が減ることは稀にありますが、韓国ではギリギリまで脚本が出来ておらず撮影もギリギリで、撮ってすぐ放送というのが普通だったそうで、昔のドラマを見ると誰かが見切れていたり、前の場面と違っていたりと、結構粗が多く見られたのはそういうことからなんですね。
しかし、現在はケーブルやポータルの影響もあってか、事前に製作することも増えてきており、そのおかげでじっくりと作品に取り組め評価も高い作品が作られ、更に過酷な撮影が緩和されたことで役者さんたちにも優しくなってきています。
それでなのか、ほとんどテレビドラマに出ず映画ばかりだった方がドラマ出演される要因にもなっているのではないでしょうか。
まとめ
視聴率や再生回数というものは、どうしても気になってしまうものです。
どれだけ人気の作品なのか、周りのみんなが見ているのかを判断するには数字で表されるというのは分かりやすいですよね。
音楽でも同じことが言えますが、CDの売り上げ枚数はそうではなくても、ダウンロードやストリーミングで聴かれていて、テレビ番組に出演しなくても広く聴かれていることもあるように、ドラマもリアルタイムで見ていなくても、後追いで配信サービスで見ていたり、スマホでダウンロードしたものを見ていたりする世代がどんどん増えているので、新しい目安の数字が無い限り、視聴率や再生回数だけでは実際どれだけの人が見ているのか、評価がどうなのかはわからない時代なんです。
個人的意見になりますが、地上波テレビドラマは視聴率で面白いかどうかは判別できないですが、ケーブルやポータルは基本有料で見ているので話題の作品や面白い作品は確実に視聴率や再生回数に繋がっていると思うので、そちらの信用度は高いように思います。
しかし、面白いかどうかは個人の好みによるところもあるので、結局は実際に見てみるしかないんですけどね。