カン・スヨンさんの遺作であり「新感染ファイナル・エクスプレス」のヨン・サンホ監督最新作!
気候変動により地球で暮らせなくなった人類の行く末を描いたSF作品。
キャスト、あらすじ、感想などをまとめました。
(トップ画像公式ページより)
ジョンイ【韓国映画】キャスト一覧
2023年1月20日よりNetflixで配信スタート
上映時間:99分
監督・脚本:ヨン・サンホ
「新感染ファイナル・エクスプレス」
「サイコキネシス−念力−」「新感染列島ファイナル・ステージ」など
【ユン・ジョンイ役】キム・ヒョンジュ
伝説の傭兵。
【ユン・ソヒョン役】カン・スヨン
ジョンイの娘。クロノイド研究所のチーム長。
【ユン・ソヒョン役】パク・ソイ
子供時代のソヒョン。
【キム・サンフン役】リュ・ギョンス
クロノイド研究所所長。
【イ・セヨン役】オム・ジウォン
クロノイド商品開発部常務。
【会長役】イ・ドンヒ
クロノイド会長。
Netflixで公開から1日で世界31ヶ国で1位を記録!
公開前年5月に亡くなったカン・スヨンさんの遺作としても注目されたヨン・サンホ監督の最新作。
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ジョンイ【韓国映画】あらすじ
22世紀。
気候変動の影響により地球は人類が住みにくい環境となっており、住めなくなった人類は避難先のシェルターで暮らしていた。
しかし一部のシェルターは自治権を主張し、地球からの独立を求めて内戦を起こす。
この戦いは数十年も続き、この長引く内戦に終止符を打つために強力な戦闘アンドロイドの開発を進めていた。
この戦闘アンドロイドのAIとして選ばれたのが、かつて内戦中に亡くなってしまった伝説の傭兵ジョンイだった。
クロノイド研究所はジョンイの脳を複製し、優秀な戦闘アンドロイド兵士を作ろうと努力しているのだが、思ったほどの実績は出せず研究所のチーム長でありジョンイの実の娘であるソヒョンも頭を抱えていた。
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ジョンイ【韓国映画】みどころ
内戦が何十年も続く22世紀を舞台としたSFヒューマンドラマ。
内容は伝説の傭兵ジョンイのクローン兵士を作ろうと研究するジョンイの娘ソヒョンの話であり、その開発を通して母と娘のドラマを描くものでもあります。
そして戦闘アンドロイドを道具のように扱う所長と、母の顔をしたアンドロイドに複雑な思いを抱くソヒョンとの対立、そしてアンドロイド開発を一般商品に転用しようとする大企業の企みなど、未来世界を舞台に技術の発展がもたらす危険性についても同時に描かれています。
一番のみどころは、キム・ヒョンジュさんによる格闘アクションシーンで、CGとVFXのクオリティはレベルの高いものになっています。
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ジョンイ【韓国映画】感想・評価
やっぱり韓国製SFは駄目だと痛感させられた残念作。。。
映画「新感染ファイナル・エクスプレス」やNetflixドラマ「地獄が呼んでいる」が素晴しい出来だったので本作も期待していたのですが、有名SF作品のいいとこ取りしただけというか、監督のオタクぶりを具現化したらミーハーなだけで捻りのない作品になったといったところでしょうか。
世界観は「ブレードランナー」「攻殻機動隊」「ターミネーター」的で非常に好みですし、CGのクオリティやVFXも邦画ではお目にかかれないレベルなんですか、ジョンイという伝説の傭兵の脳を複製して最強の戦闘アンドロイドを作るという設定は「スター・ウォーズ」のクローントルーパー(人間の賞金稼ぎジャンゴ・フェットの遺伝子をもとに作り出された)そのものですし、地球で暮らせなくなった人類が作った避難先のシェルターが自治国を宣言し内戦が起きるという設定は「ガンダム」のコロニーとジオン公国そのもの。
さらに登場するマシンやロボット、アンドロイドのデザインに関しても上記の名作映画で見たようなものばかりなんです。つまりSFとして新鮮味がなく、二番煎じどころか三番煎じに感じてしまう…。
それでも中国や香港の作品のようにエンタメに特化していればそれなりに楽しめるのですが、本作はアクションよりも“技術の進歩により訪れるかもしれない恐ろしい未来”というものがテーマになっていて、想像以上にアクションシーンは少なく会話劇中心のヒューマンドラマという印象のほうが強いんです!
こんな中途半端さなら、ストーリーは面白い日本のSFに投資してくれたほうがもっとマシな作品になるというもの!!
そしてキャラクター面に関してはといえば、主人公を女性二人にしたのは韓国の男尊女卑文化イメージを払拭するためだとしても、開発した戦闘アンドロイドを採用するかどうか決めるのは男性ばかりですし、アンドロイドを愛玩用に転用するというのも男性的考え。
そんなパターンになるなら、普通に屈強な男性キャラクターをジョンイ役にして、父と娘の話にすれば良かったのに…。
そして肝心の主役キム・ヒョンジュさんとカン・スヨンさんがこれまた微妙で、キム・ヒョンジュさんがアクションも出来るのだとしても、キャラクタービジュアルからは強さを感じませんし(もっと兵士らしい見た目にメイクすべき!)、カン・スヨンさんは名女優なのかもしれませんが主人公の一人としては正直地味。
さらに所長のキャラクターがとにかくウザく、シリアスなSFと母と娘のドラマに不必要なユーモア(ダダ滑り!)なんて必要なかったんですよ!
エンタメ的内容ならユーモアを入れてもいいですけど本作には合いませんよね。
しかも、目立ったキャラクターは主人公の二人と所長しかいなく、他はモブキャラというんですからキャラクタードラマとしても魅力はありません。
一番ガッカリだったのはアクションに関してで、アクションシーンは冒頭と終盤の2回しかないんです!
それは予算の都合なのかもしれませんが、この2シーンのクオリティはまずまずなものの、内戦が何十年も続いているのにロボットやアンドロイドとの格闘ばかりというのはかなり地味ですし、派手な戦闘シーンを描かず内戦が終わってしまうなんて何とも勿体ない!
そして戦争により技術が発展していく問題を提起しておきながらも、その解決策や危険性を分かりやすく説明はしておらず、なんとなくSFで扱いがちなテーマを取入れてみただけに見えてしまったのも残念でした…。
冒頭とラストのアクションシーンだけを見るとかなりのエンタメ作品に感じるかもしれませんが、見せ場はその2シーンのみであとは会話劇が繰り広げられるだけという意外に地味な内容でした。
世界観や設定も世界の名作のいいとこ取りをしただけのように感じ、ヨン・サンホ監督作品としては失敗作と言っていいレベルでしかありませんでした…。
最後に
アクションとしては物足りないし、会話劇中心なので2時間も無い映画にしては長く感じるなど、どっちつかずな印象に。
SFアクションとして楽しむなら冒頭とラスト以外にもアクションシーンを盛り込んで欲しいですし、母と娘のヒューマンドラマとして見せたいならジョンイが何故英雄と呼ばれたのかや、何故ソヒョンが研究者となり母親のクローンを作るに至ったのかも詳しく描くべき。
そういったどっちつかずなところや、各シーンや設定が名作のパクりなのかオマージュなのか分からないところもあり、結果として何ら新鮮味もない残念な作品になったんだと思います…。