「パラサイト 半地下の家族」でアカデミー賞4冠達成したポン・ジュノ監督作品!
韓国での観客動員数は約1,300万人という大ヒットエンターテイメント映画。
キャスト、あらすじ、感想などをまとめました。
(トップ画像公式ページより)
グエムル漢江の怪物【韓国映画】キャスト一覧
2006年7月7日韓国にて公開(日本公開日2006年9月2日)
上映時間:120分
観客動員数:約1,300万人
監督、脚本:ポン・ジュノ
「殺人の追憶」「パラサイト半地下の家族」など
【パク・カンドゥ役】ソン・ガンホ
漢江の河原で露店を営む男。パク家長男。
【パク・ヒボン役】ピョン・ヒボン
カンドゥの父。露店を経営。
【パク・ナミル役】パク・ヘイル
パク家次男。大学出だが失業中。
【パク・ナムジュ役】ペ・ドゥナ
パク家末娘。アーチェリー選手。
【パク・ヒョンソ役】コ・アソン
カンドゥの娘。中学生。
【セジュ役】イ・ドンホ
孤児の少年。
本作は、カンヌ国際映画祭パルムドール、アカデミー賞4冠などに輝く「パラサイト半地下の家族」で今話題のポン・ジュノ監督による2006年の大ヒット作です。
韓国での観客動員数は1,300万人を突破し、現時点で韓国映画歴代観客動員数第7位となっています。
主演はポン・ジュノ組ではお馴染みの名優ソン・ガンホ。
本作ではあまり賢くない家族思いの父親役を役を演じていて、アジア・フィルム・アワードの主演男優賞をはじめ数多くの演技賞を獲得しています。
主演のソン・ガンホはポン・ジュノ監督作品には欠かせない俳優さんですが、その他にもお気に入りの俳優さんを何度も起用するみたいですね。そして、起用した俳優さんが軒並み大物になっているのも特徴で、そこから監督の人を見る目の凄さがうかがえます。
ちなみに怪物の声を担当しているのは、名バイプレイヤーとして知られるオ・ダルスです!
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グエムル漢江の怪物【韓国映画】あらすじ
パク・カンドゥ(ソンガンホ)は父親と共に漢江の河川敷で売店を営んでいました。
ある日のこと、毎度のようにお客に出すスルメの足をくすねては父親から怒られる、そんな平和な日常を送っていたガンドゥに悲劇が訪れます。
突然、漢江から謎の怪物が現れ河川敷に集まった人々を襲いはじめたのです。悲鳴をあげながら逃げ惑う人々の中にはカンドゥの娘・ヒョンソ(コアソン)もいて、なんと怪物によって水中へ連れ去られてしまったのです。
その後、怪物の犠牲になった人たちの合同葬儀が行われ、そこで数年ぶりに集まることになったパク一家でしたが、犠牲者の家族は怪物のウイルスに感染しているとされ他の家族共々病院に収容されてしまいます。
そんな最中、亡くなったと思われていたヒョンソからガンドゥに電話がかかって来て、一家は密かに病院から抜け出しヒョンソを救うために奔走するのですが・・・。
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グエムル漢江の怪物【韓国映画】みどころ
タイトルやグエムルのビジュアルを見るとマニア向けの怪獣映画だと思ってしまうかもしれませんが、軸にあるのはある家族の物語であり、様々なメッセージも込められた社会風刺映画です。
とはいっても、当然怪物とのバトルもあるのでアクション映画としても見応え十分ですし、アクションの内容も火炎瓶やアーチェリーを使ったものだったりと、普通の怪獣映画での戦い方とは一線を画しているのも特徴です。
特にラストのグエムルと一家の対決シーンは、手に汗握る壮絶かつ感動的なシーンとなっています。
グエムルのイメージから食わず嫌いしたりグロテスクさが苦手だと感じる方もいるかもしれませんが、グエムルに立ち向かうのは娘を連れ去られたある一家であり、最初は疎遠となっていた家族がグエムルに立ち向かうことで絆を深めていくという家族愛も描かれている他、環境問題や反米に関したテーマがあったり、それでいて作品にはユーモアさも盛り込まれているなど、エンターテイメント作品として非常に優秀なんです!
本作は笑いあり涙ありの幅広い層の方が楽しめる作品です。
その一方で映画の隅々に比喩的メッセージが込められていたり、様々な解釈が出来たりといった映画マニア心をくすぐる要素も兼ね備えているのも魅力となっています。
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グエムル漢江の怪物【韓国映画】感想・評価
本作は、ポン・ジュノ監督作品の中では韓国で一番ヒットした作品です。(パラサイト~が世界でヒットしているので本作の記録を軽く上回るでしょうが・・・)
個人的にも大好きな作品なんですが、実は賛否両論ある作品としても知られています。
サイトのレビューなどを見てみると、登場人物がクズばかり、B級パニック映画として見てもお粗末、川にゴミを投げ込むなどマナーがないといった辛らつなものから、SFとして突っ込みどころを挙げる方が多数いらっしゃいます。
本作が好きな私からするとそういった意見は残念ですが、その反面でそれを受けて再度見直す楽しみもあり、私は何度も見返して様々な解釈をしています。
通常の怪獣映画などでは怪物は核実験によって生まれたり、それを最新兵器や科学知識によって倒していくのですが、本作の場合は怪物の正体を解明したり、怪物が生まれた背景について詳しく描くことがメインではなく、あくまでも拐われた娘を取り戻しその結果怪物を倒すという流れになっています。
なのでそういった怪獣映画やパニック映画を期待すると肩透かしを食らったり、細かい設定の粗などが目立ってしまうのは事実なんですが、そもそもそういうつもりで作ってないので仕方がないのかなと思うんです。
登場人物や病院、警察などがちゃんとしてないのも自虐的とも言えますし、もっとちゃんとしているだろうと思うのは日本的な考え方かもしれません。
私が本作を見て魅力的に感じたのは、主人公であるパク一家がありきたりなヒーローではないという点です。
通常怪物と戦うのは軍隊や科学者であり、本作のようなごく普通の一般市民、しかも金持ちでも特殊能力があるわけでもない社会的弱者であるというのが面白いんです。しかも、家族だけで戦いを挑み国や何らかの組織からの手助けはないというのもポイントで、そこからは社会に対する皮肉めいたものも感じられました。
そういったメッセージ性が全面に出ると堅苦しくなったり説教臭くなってしまうんですが、そうはならずエンターテイメントとしてキチンと成立しているのが本作のスゴいところですね!
まとめ:見る人によって賛否両論ある、ある意味ポン・ジュノ監督の問題作!
怪物退治のエンターテイメント作品として見るもよし、家族の絆の深さに感動するもよし、その裏に隠されたメッセージ性を紐解くもよしな多方面から楽しめる作品です。
最後に
本作は、パッと見は怪獣が登場するパニック映画ですが、実はアメリカや格差社会に対する批判や家族愛についても描かれています。
怪物誕生の原因として在韓米軍が大量のホルムアルデヒドを漢江に流出させた事件を元にしてますし、作品の中には警察や病院への不満をはじめ社会への不安も描かれていて、それが堅苦しく描かれていないのも特徴でした。
だから普通に見たときはエンターテイメント作品として楽しめるのですが、実はその裏にメッセージ性が隠されているという二面性があると感じました。
こういったエンターテイメントとメッセージ性の融合の巧さがこの作品をはじめポン・ジュノ監督作品全般に共通するところだと思います。