(画像URL:http://coffeegreate.zz.am)
国によってファンの応援の形はさまざまなようです。
韓国ではファンが協力して、アイドルにお弁当やケーキを差し入れたり、ラッピングバスで誕生日を祝ったり、花輪を送ったり・・・それらをサポートと呼びます。
韓国ファンのサポートはとことん尽くす!!そこに見返りはありません。
とにかく太っ腹で、食べ物にしてもその俳優が出演するドラマや番組スタッフ全員分差し入れます。
しかも差し入れの一つ一つに応援メッセージシールを貼るなど、見た目も素敵で、それそのものがひとつのお祭りのよう。
今回はファンのサポートの中でも、もはや韓国芸能界では定番となった「移動カフェの差し入れ」について、紹介します!
飲み物ではなく、コーヒーワゴン車両を一台、撮影現場に送るんですよ!
移動カフェ差し入れの基本形態
(画像URL:http://coffeegreate.zz.am)
移動カフェ業者は多数ありますが、こちらが差し入れの基本形態です。
[1.垂れ幕]
俳優の写真と共にドラマや番組名、応援メッセージなどが掲げられます。どんなメッセージにするかはファンのセンスのみせどころです。
[2.ギャラリー]
応援する俳優の写真を並べ、この俳優のお店であるかのように飾ります。
[3.バナースタンド]
俳優の写真と共に、ドラマや俳優への応援メッセージなど、バナースタンドにして、実際のお店であるかのように立たせます。
[4.映像]
ファンが作った俳優のVTRを流します。
(画像URL:http://coffeegreate.zz.am)
[5.シール]
アイテム一つ一つに俳優の写真入りシールを貼ります。
差し入れ進行の順序
2013年に開業し、2016年には差し入れ数800回を越える芸能人差し入れ専門の移動カフェ、coffeegreateを参考に、具体的に紹介します。
進行の順序
1.所属事務所(or製作社へ)差し入れ申請と認定
2.移動カフェ業者に予約
3.垂れ幕、シール、映像など材料業者に伝達
4.差し入れ当日
1.差し入れ申請と認定
許可なく勝手に差し入れすることはできません。俳優への差し入れは所属事務所に、ドラマや監督へのは製作社に、申請しなければなりません。差し入れは担当者と撮影日程合意後に決められるものなので、必ず申請をして、日程などを確認しなければなりません。
撮影場所の状況について
ドラマでも映画でもひとつの場所でだけずっと撮影するわけではありません。主に固定セット場と野外撮影場所がありますが、多くの場所を行き来しながら撮影します。室内セット場や、固定野外撮影場の場合には比較的しやすいですが、時にそのほかのロケ現場ではその場所に移動カフェが入るのに適しているか、またその場所での撮影時間がカフェの差し入れをするのに充分であるかなど、考慮しなければなりません。
俳優の撮影スケジュールに合わせる
室内セットや野外撮影場など俳優の撮影スケジュールを考慮しなければなりません。
もちろん俳優の撮影分量、できれば充分に長く時間がかかる日を主に選びます。
またその日の撮影シーンも考慮の対象です。
例えば、深刻な感情シーンが多いとか、特別な扮装をする日だとか、そういう日の差し入れは控えたほうが無難でしょう。
2.移動カフェ業者予約
差し入れ日程の連絡を受けたら、業者に予約します。
ドラマの場合、差し入れ前日に日程が決まることも多いため、予約を受けられない場合でなければ、業者は最大限合わせてくれるようです。
日程と場所が決まらなければ予約はできませんが、それまでの間、カフェ業者と相談しなければならないことがいくつかあります。
まずは注文数です。たいがい後清算方式で、終了後すべてのカップ数に応じて清算されます。
材料の準備のために、あらかじめどのくらいの量を想定して、追加するのかを決めておかねばなりません。
参考までに・・・
ドラマや映画、すべての俳優とスタッフなど撮影チームの人数は通常80人から100人で、サポート時間は2~3時間程度が一般的です。その場合、150~200杯程度になると考えられます。
ドラマAチーム、Bチームすべて一緒だったり、スタッフや俳優が多かったりする日には人数が大幅に上がることもありますが、差し入れ日程の連絡を受けたときに、人数も伝えられるので、それにあわせて準備すればいいでしょう。
想定数より多くても少なくても、その数だけの清算となります。
具体例
飲み物 3000W×150杯
サンドイッチ 4000W×50個
餅菓子 4000×80個
出張代 70000W
=1040000W(約10万4000円)
(※出張費は代行業者によって異なりますが、5万ウォンから7万ウォンが一般的です。地方になると追加料金がかかります。)
飲み物だけを差し入れすることはほどんどないので、お会計は軽食とともに、だいたい平均してこのような感じになります。
ファンが大勢集まれば、個人の負担額はそれほど高くはなさそうですね。
チュロス車の場合
韓国で最も人気のあるチュロス車運営会社churroking(サポート経験500回以上)の価格例を参考にします。
同じく出張費に垂れ幕そのほかの出力代が含まれていて、、ドリンク代も3000W程度で同様です。
チュロス一本がだいたい2000W(約200円)なので、それだけなら上記の例よりは多少割安になりますが、チュロス車にもサンドイッチなどの軽食サービスがあり、一般的に飲み物とチュロスだけ選ぶことはあまりないようなので、上記と同じような価格になります。
出るカップ数に応じて清算され、時間についての費用はありません。
一回の差し入れ進行は、一般的に2~3時間程度ですが、他の予約などで不可能でない限り、希望する時間だけ可能。
しかし差し入れが真夜中になる場合、出張費が10万ウォン(約1万円)追加になります。
(画像URL:http://coffeegreate.zz.am)
飲み物は、現場で作るケータリング形態ですが、クッキー、サンドイッチ、果物、ホットドッグなど食べ物の場合、すべて作ってあるものを持って行き、現場で配る形態です。
したがってフード類の場合、正確な個数をあらかじめ注文しなければなりません。その数量だけ作っていきます。また、飲み物の場合とは違って、フード類は予約時100%先払いになります。
【場所に関連して確認すべきこと】
室内セット場で進行されるサポートの場合は特にないのですが、野外撮影場の場合、
①電気使用可能かどうか
②撮影チーム現場到着時間
以上の2つの確認が必要です。
室内セット場の場合、電気使用や車両駐車場などあらかじめ調べる必要がありませんが、野外撮影の場合は現場で電気使用が可能な状況か、あらかじめ調べる必要があります。
もし現場で電気が使えない場合、事前に伝える必要があり、その場合追加料金がかかります。
カフェ業者は普通、サポート時間の1時間半から2時間前に到着し、車両セッティングを始めます。セッティングのあと、車両を移動するのが容易ではないため、最低1時間前までには電気がつながらなければならず、コーヒー車両の位置がさだまらなければなりません。
したがってサポート時間の1時間前までには現場で、以上の事項を確認してくれる撮影チームの方がいらっしゃらないといけません。
3.垂れ幕などの作成材料を伝達
(画像URL:http://coffeegreate.zz.am)
カフェ車両にきれいな垂れ幕をつけて、コップホルダーに素敵なシールもつけて、また映像を流したり・・・装飾のための手順についてです。
すべての出力物は実際サイズのJPEGファイルで送れば、カフェ業者で準備してくれます。
費用はcoffeegreateをはじめ、たいがいのカフェ業者は出張費(ソウル近郊5万ウォン~7万ウォン程度=約5千円~7千円)に含まれていることが多いようです。
coffeegreateは写真とそこに載せる文句だけ送れば、デザインも無料でしてくれます。
映像はUSBに入れて送れば、32インチDIDで再生してくれます。
予約が週末になったり、差し入れ前日の場合、出力費用の一部を注文者が負担することになります。
ほとんどの出力工場は平日だけ稼動しているので、急な出力は夜間業者にお願いし、速達で送ってもらうことになり、その場合、追加出力費用と速達代がかかります。(2万ウォンから3万5千ウォン程度)
<予約変更またはキャンセル>
映画でもドラマでも撮影スケジュールが変更になり、差し入れ日程も変更になる場合があります。
この場合、変更になる日程にまた予約すればいいのですが、そのときにカフェの都合で予約を受けられないときにも違約金はありません。垂れ幕などの出力費用を出張費に含めている業者の場合、出力費として(約5~6万ウォン、デザイン料1万ウォン)は支払うことになります。
フード類はサポート前日の午前までは日程が変更になっても違約金はなく、変更可能ですが、前日の正午以降からは注文変更やキャンセルができません。違約金(注文金額の50%)を負担することになります。
差し入れ当日
1)ファンの方は現場に来れなくても大丈夫
差し入れ現場に来れるファンがいない、または現場の状況上ファンがこれない場合がありますが、可能な限り移動カフェ業者がファンクラブ運営陣の役割を代行します。
2)差し入れ現場到着および準備
撮影上、差し入れは決まった時間より早く始めなければならない場合もあり、反対に遅くなることもあります。そのため、常に余裕を持って1時間半から2時間前には到着し、撮影チームの案内にしたがって、場所を決め、準備します。
3)差し入れ進行
差し入れを進行しながら、進行状況を伝えます。何杯出ているのか、現在スタッフたちの注文数はどのくらいか、などをファン代表者と相談。それによって、差し入れ時間の延長や、終了時間などを決めます。
移動カフェの差し入れ利用の声
女優パクシネ「ぐすん 蒸し暑い日になると必ず送ってくれるコーヒー車、本当にありがとう。 今日もおかげで気持ちよく撮影中です!! #ドクターズ#ユヘジョン(役名)中国のファンの方々最高!」
韓国だけでなく、アジアの各国から移動カフェの差し入れがあります。国ごとにサポート代行業者がいるようです。
ナムジュヒョク「いつもありがとうございます」
「麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~」で第13皇子を演じたナムジュヒョクへの垂れ幕メッセージ「今日は花萌ゆる13皇子がおごります!愛のこもったピザをめしあがれ!」
差し入れは単なるカフェではなくピザ車両など、多様化してきました。ピザも韓国では間食です!
最後に
韓国ファンの芸能人サポートには「その俳優に花を持たせる、顔を立てる」という名目があると思います。
だから垂れ幕には「○○(俳優名)がおごるよ!」というような文句が多く、差し入れが安っぽかったり、ケチったりすると逆に面目をつぶすことになります。
そのため差し入れ合戦にも拍車がかかる傾向にあります。
韓国でアイドルへ食べ物の差し入れが始まったのは、当時圧倒的人気だった5人組男性グループH.O.T(エイチオーティー:2001年解散)のときからだという話もありますが、定かではありません。
日本の芸能界ではファンからの食べ物は毒物の危険を考慮して、絶対に口にしてはいけないとされていますが、韓国でもそれにまつわる事件がありました。
06年東方神起のユノ・ユンホがファンを装ったアンチファンからボンド入りのオレンジジュースを飲んで嘔吐、緊急入院したことがあります。幸い、大事には至りませんでしたがご本人は「人が怖くなった」とコメントしています。(http://www.recordchina.co.jp)
そういった過去の事例があるにもかかわらず、ファンからの差し入れはますます盛況です。やっぱり食べ物が大事な国、食事で情を深めるのだと思います。
複数のファンクラブが競い合って差し入れるため、どんどん豪華に、ますます素敵に発展してきた差し入れ事情、今後はどんな風に変わっていくのでしょうか?
韓国にはほかにも「地下鉄広告」「米花輪」などさまざまなサポートがあります。
それらをまとめた記事がこちら↓