ソ・イングク、オ・ヨンソ主演による新感覚ミステリーラブコメディ!
元プロファイラーの男巫と検事の兄が殺された謎を追う熱血女性刑事との活躍を描いたコミカルな犯罪捜査ドラマ。
キャスト、あらすじ、感想、制作スタッフの労働問題などをまとめました。
(トップ画像公式ページより)
美男堂の事件手帳キャスト一覧
原題:ミナムダン
Netflix全18話
放送期間:2022年6月27日~8月23日まで韓国KBSで放送予定
Netflixにて同日配信
最高視聴率:4話の5.7%(6話まで放送中の段階)
演出:コ・ジェヒョン
「プレーヤー華麗なる天才詐欺師」
「タッチ~恋のメイクアップレッスン」
「夕食、一緒に食べませんか?」など
脚本:パク・ヘジン
「仮面の王イ・ソン」「プリースト」など
【ナム・ハンジュン役】ソ・イングク
”美男堂”の巫堂(ムーダン)。元プロファイラー。
【ハン・ジェヒ役】オ・ヨンソ
刑事。強力7班のチーム長。
【コン・スチョル役】クァク・シヤン
美男堂のバリスタ。元刑事。
【ナム・ヘジュン役】カン・ミナ
ハンジュンの妹。国家情報院出身のハッカー。
【チャ・ドウォン役】クォン・スヒョン
検事。財閥3世。
【チャン・ドゥジン役】チョン・マンシク
強力7班ベテラン刑事。
【キム・サンヒョプ役】ホ・ジェホ
強力7班刑事。
【ナ・グァンテ役】チョン・ハジュン
強力7班新人刑事。
【チョ・ナダン役】ぺク・ソフ
美男堂のバイト。
「応答せよ1997」でブレイクしたソ・イングクさんと、「トンイ」出演以降トップ女優となった オ・ヨンソさん主演によるミステリーラブコメディです。
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美男堂の事件手帳あらすじ
若い女性たちのみならず、財界の大物たちからも人気の占い師ナム・ハンジュン(ソイングク)は、元プロファイラーの能力を活用して占いカフェ「美男堂」を営んでいた。
そんなハンジュンと因縁の関係にある女性ハン・ジェヒ(オヨンソ)は、検事である兄が殺された事件の真相を探るため犯人逮捕に執念を燃やしていた。
そんな水と油のような二人が、あるひき逃げ事件を切っ掛けに度々出くわすようになる。
詐欺師紛いの手を使ってでも自分に濡れ衣を着せた何者かを捕まえようとするハンジュンと、仲間の刑事たちからも疎まれる正義感を持ったジェヒは、衝突を繰り返しながらも次第に協力していくようになり・・・。
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美男堂の事件手帳 みどころ
コメディ要素満載のドタバタ犯罪捜査ドラマ!
刑事とその他の職業のキャラクターがタッグを組むというのはよくある設定ですが、本作は逮捕歴のある元プロファイラーと、彼に恨みを抱いた女性刑事が凸凹コンビを組むことになるというもの。しかも主人公は、占い師/男巫として大人気という奇抜な設定で、有能だと思わせるためにプロファイラーとしての分析力や、仲間のハッカーによる情報収集能力をフル活用しているという詐欺師紛いのキャラクターなんです。このユニークな設定があるお陰で、凄惨な殺人事件が描かれても楽しく見れるというのが他の犯罪捜査ものとは一線を画すところかと。
そんな主人公コンビのみならず、元刑事のバリスタや元国家情報院のハッカーなどが所属する占いカフェのスタッフたちに、いい人揃いなコミカルな男性刑事たち、さらに喋りだすと止まらない完璧検事に、主人公の占いに頼りきりな財閥妻など、登場人物は個性派揃い!
その上、主人公たちによる詐欺師紛いの動きと、ヒロインたちによる警察としての動きの両方が見れることで、一つの事件を多方面から描くことが可能となっています。
このエンターテイメント性とユニークなキャラクター設定があることで、本作をポップかつテンポの良い作品へと押し上げています。
ヒロインの兄を殺害し、主人公に濡れ衣を着せた真犯人とは誰なのか?
何かと対立し続ける主人公とヒロインのロマンスの行方とは!?
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美男堂の事件手帳 労働問題とは?
2021年12月から始まった美男堂の撮影は当初の契約では5月31日にまでにすべて終わる予定でした。
ところが、コロナ感染などにより予定通り進まず、まだ撮影分量が相当数残っていたため、制作会社とスタッフが再度契約。
この際、大部分のスタッフは既存の契約内容と同一条件で再契約しましたが、一部スタッフは新しい条件を提示し、制作会社はそれに同意しなかったため、契約終了となりました。
新しい条件とは「労働基準法の延長勤務限度を守ってほしい」との要求でした。
「朝6時半にバスに乗って現場に行き、撮影が終わるのが24時。帰宅すると2時で、1日3~4時間しか睡眠時間を取れない生活が6か月続いた。」
労働基準法では1週間の勤務時間は40時間で、追加で12時間の延長までを認めています。
法の基準を大幅に超えた労働時間に、スタッフの怒りが爆発するのも無理はありません。
この要求を制作会社側が拒否したため、ドラマ撮影スタッフ約70人のうち撮影・照明・録音など主要技術スタッフ20人が事実上、解雇となりました。
労働者とフリーランサーの違い
背景には放送スタッフらの劣悪な処遇問題と、これらを労働者と認めるかという問題があります。
放送制作構造が放送会社、制作会社、スタッフにつながる多段階外注形態であるため、スタッフのうち相当数が「労働者」ではなく「フリーランサー」の身分で契約を結ぶ慣行があるためです。
フリーランサーは法的に労働者ではなく事業者であるため、労働基準法の保護を受けることができません。
今回問題になった美男党制作会社側も労組に対し、
「スタッフは個別契約を結んだから労働者ではない。私たちは、勤労基準法を遵守する義務がない」
と話したそうです。
しかし過去、2018年と2019年の2回にわたり同様の問題に対して、雇用労働部は放送ドラマ制作スタッフはフリーランサーであっても、実際には指揮・監督を受ける従属関係で働くため、労働者とみなす、としています。
今回問題となった制作会社はすでに労働基準法違反で雇用部の捜査を受けているそうです。
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美男堂の事件手帳 感想・評価
韓国のサスペンスものといえば、残虐な事件とスリリングな展開が持ち味といえますが、本作はその特徴を活かしながらもユニークなキャラクターたちによるコメディとロマンスがミックスされたエンタメ要素高めの内容となっています。
個人的には近年放送のサスペンスの中で「ヴィンチェンツォ」「MYNAME:偽りと復讐」などと同レベルに面白かったサスペンスもので、これならシリアスな犯罪ドラマが苦手な方でも十分楽しめるかと。
ストーリー的にはコプリと呼ばれる謎の殺人犯によって、無実の罪を着せられた元刑事と、兄を殺された女性刑事が真犯人逮捕に挑むという特に珍しくもないものなんですが、そこにユニークなキャラクターと偽の巫堂(ムーダン)という設定が入ることでかなりコミカルに仕上がっているんです。
正体不明の大量殺人犯に複数の犯罪者、権力者たちを操る謎の占い師にサイコパスな財閥御曹司など、シリアスなこと間違いなしな要素やキャラクターが盛り沢山ながらも非常にポップな作品になっているというのはお見事としか言いようがありません!!
犯罪の内容は財閥後継者の悪行や、権力者からの圧力に負けそうな警察、そして過去から続く連続殺人事件の犯人を追うという典型的なものなんですが、コプリと呼ばれる殺人犯の正体が掴めなかったり、儀式的な犯行だったりとミステリアスな要素が全面に出されていて興味を引かれます。
ストーリーが進むと主人公とは違い本物っぽい巫女が現れて、コプリの背後に巨大な組織の存在があることが明らかになったりと、単純な猟奇殺人犯ではないことが分かってきます。
途中で「結局はどこかの権力者が邪魔者を排除するために行っていたもの」というありきたりなものになってガッカリしそうになったんですが、そこから真犯人候補が複数になったり、さらなる黒幕がいたりとどんでん返しな展開になっていくので、シンプルかと思っていたサスペンスが複雑化していくことで更にひきこまれました。
ここで注目なのが、こういう最終局面になっていくと大概のドラマではコミカルさか薄れてシリアスさが全面に出てくるものなんですが、本作では最後までコミカルさとシリアスさがバランスよく展開してその加減が絶妙なんです!
もちろんシリアスになるのが駄目というわけではないのですが、折角の持ち味が失われてしまうのはやっぱり勿体無いですよね。
この点が他の作品とは決定的に違うところなのかもしれません。
プロファイリング能力とハッカーとしての実力を活かして占い師のフリをしたり、それに権力者(ほぼ悪人)がまんまとダマサれて主人公のことを崇めたりするのも面白かったですし、その結果小悪党たちに懐かれてしまうのも笑えました。
最初はヒロインや警察と対立していたのに徐々に一つのチームとなっていくのもユニークですし、占い師のフリをするという詐欺じみた行いにより権力者との繋がりをもったり、それが犯罪捜査に活かされたりと、このいい意味でご都合主義な展開が凶悪な犯罪という負の要素を和らげているんです。
これがただの警察とサイコパスの戦いを描くだけだったなら、同じ犯罪を描いたとしてもありきたりな作品になっていたかもしれません。
あと、ヒロインのキャラクターです!
このクールビューティーかつ暴力的なヒロインは、犯人に対しては容赦ないのに主人公の前では甘々と甘々になるというツンデレキャラ。
それに美男堂や警察の面々も皆個性的かつユニークなので、キャラクタードラマとしても見応え抜群でした。
ソ・イングクさんのユーモラスさとオ・ヨンソさんのツンデレっぷりなど、キャラクタードラマとしても魅力的な作品です。
最後に
本作のラストは、続編の可能性を匂わせるような形で締めくくられていましたが、この魅力的なキャラクターたちによる新感覚な犯罪捜査ドラマだったら、まだまだ見続けられる自信がありますね!
最初から最後までユーモラスさを失わなかったので、途中で飽きることもなかったですし、同じようなテイストが続くせいで見るのに疲れてしまうということもなかったなど、韓国サスペンスらしさを保ちつつ弱点をしっかりとカバー出来ていたのがスゴイですよね。出演俳優陣とキャラクターたちとの親和性も高いので、是非とも続編を作って欲しいですね。