ソン・ガンホ主演による実際にあった「光州事件」に基づくヒューマンドラマ。
観客動員数1200万人越えの2017年No.1ヒット作品!
キャスト、あらすじ、感想、みどころなどをまとめました。
タクシー運転手(韓国映画)キャスト一覧
原題:A TAXI DRIVER
2017年8月2日韓国で公開(日本では2018年4月21日公開)
上映時間:137分
観客動員数:1200万人越え
監督:チャン・フン
脚本:ウム・ユナ
【キム・マンソプ役】ソン・ガンホ
【ユルゲン・ヒンツペーター(ピーター)役】トーマス・クレッチマン
【ファン・テスル役】ユ・ヘジン
【ク・ジェシク役】リュ・ジュンヨル
【チェ記者役】パク・ヒョクグォン
この映画は「義兄弟 SECRET REUNION」「高地戦 THE FRONT LINE」のチャン・フン監督による作品。
本作は、第90回アカデミー賞外国語映画賞韓国代表作品であり、第54回大鐘賞において最優秀作品賞と企画賞受賞をはじめ、第26回釜日映画賞でも最優秀作品賞、主演男優賞、釜日読者審査団賞受賞するなど他にも数々の賞を獲得した作品です。
タクシー運転手(韓国映画)あらすじ
ソウルのタクシー運転手キム・マンソプは、金の面で苦労しながらも男で一つで娘を育てていました。
マンソプは家賃を何ヵ月も滞納しなんとかして金を工面しようと考えていたのですが、そんな時食堂で割りのいい客の話を聞き他のタクシー運転手の客を横取りすることにします。
その客はドイツ人の記者ピーターで、情報統制され世界に真実が伝えられていない光州での民衆蜂起について調べに行くために韓国にやって来ていたのです。
なんとか検問をくぐり抜け光州へ入った二人は、そこで軍による暴虐を目撃することになります。
その実情を全世界に伝えるためにカメラをまわすピーターと、このままここにいてはマズイと逃げ帰ろうとするマンソプでしたが、光州のタクシー運転手や学生たちと出会い、触れ合ううちにマンソプも考え方を変えていくようになり・・・。
実在モデルは現在?
ピーターは実在した今は亡きドイツ人記者ユルゲン・ヒンツペーターさんを、そしてキム・マンソプは実在したタクシー運転手キム・サボクさんをモデルとしており、これまでサボクさんの存在は世間に知られていなかったのですが、本作公開後に息子さんが明らかにしたそうです。
その時にサボクさんとヒンツペーターさんが一緒に写った写真を公開し、サボクさんが光州事件の4年後の1984年にガンで亡くなられたことも語られました。
タクシー運転手(韓国映画)みどころ
この映画は実際にあった事件の悲惨さをシリアスに伝えるだけの作品ではなく、エンターテインメント映画にしたことでより多くの人に伝えることが出来ていると思います。
ただのタクシー運転手が成長していく様や、光州の人々の生きざま、そしてドイツ人記者の手でこの惨劇を世界に伝えるために協力してくれた多くの人々の姿が描かれているんです。
非常に悲惨な事件を描いているため目を覆いたくなる場面もあるんですが、ただそのシーンを見て酷いとか可哀想とか思うだけでなく、それに抵抗する人々の姿や怪我人を果敢に助けようとするタクシー運転手達の姿に涙してしまいます。
はじめは金のためだけに光州に記者を連れてきた主人公でしたが、現状を知ることで考えを変え徐々に顔つきも変わってきます。
本作はこの主人公の成長ドラマでもあり、そこで出会った人々とのドラマでもあります。
もちろん主題となるのは実際にあった”光州事件”についてなんですが、ただそれだけを描いたのではシリアスになりすぎるため、ちゃんと映画としての面白さを加えているのがポイント!
「そんな悲惨な事件見たくないなぁ」と思う方もいるかもしれませんが、この映画には笑いや涙、感動もありますので騙されたと思って見ていただきたいです。
タクシー運転手(韓国映画)感想と評価・評判
この作品は一見、社会情勢を描いた小難しい作品の様に思うかもしれませんがそこは韓国、シリアスな問題を軽快かつユニークに仕上げるのが非常に上手いんです!
それでいてこの”光州事件”の悲惨さや悲しさはちゃんと伝わってきて、ただ単にエンターテインメントの題材に使っただけというのとは違います。
ただのタクシー運転手が金のためから外国人記者を危険な地域に連れていくことになり、最初はなんてことない男でしかなかったのが、光州の現状を目で見て自ら体験することによって少しずつ変わっていくんです。
この展開は冒険ドラマや英雄ドラマによくある流れなんですが、それを実際にあった民衆蜂起に活用するのはお見事!
序盤の運転手は、決していい人とは言えない金にズルく、人の客も横取りするようなタイプなんですが、終盤になると彼の顔つきは最初とは明らかに変わってきていて、そこからもソン・ガンホさんの素晴らしさが伝わってきます。
コミカルさやサスペンスのようなスリリングさ、そして市民たちが軍人に殴られ撃たれ死んで行く悲惨さを描き、更にラストにはこんなことは実際にあり得ない!と分かっていても感動してしまう 素晴らしいシーンが待っています。
エンターテインメントとして見事に成立しているのに、ちゃんと事件の悲惨さや悲しさも伝わってくるというのは本当に凄いですね!!
他の韓国映画でも見受けられますが、シリアスな問題をエンターテインメントにして多くの人に伝えるというのは韓国映画の素晴らしいところだと思います。
最後に
この映画が非常にシリアスな題材を描きながらもとても見易い理由は、主人公にただのタクシー運転手を据えていることにあると思います。
こういったタイプの作品の場合、報道記者や事件の当事者の目線から描かれそうなものを、ただ巻き込まれてしまっただけの名も知れぬ一般市民、それも事件が起きた地域の住人でもない人の目線から描かれているという点が重要なんです。