コン・ユが北朝鮮特殊部隊出身を演じたスパイアクション。
本格的アクション初挑戦にして、危険なシーンにも自ら挑んでいます!
キャスト、あらすじ、感想、みどころ、続編があるかどうかなどをまとめました。(トップ画像公式ページより)
サスペクト 哀しき容疑者キャスト一覧
原題:容疑者/THE SUSPECT
2013年12月24日韓国で公開(日本では2014年9月13日公開)
上映時間:137分
観客動員数:約390万人
監督:ウォン・シニョン
脚本:イム・サンユン
【チ・ドンチョル役】コン・ユ
【ミン・セフン大佐役】パク・ヒスン
【キム・ソッコ室長役】チョ・ソンハ
【チェ・ギョンヒ記者役】ユ・ダイン
【リ・グァンジョ役】キム・ソンギュン
【チョ大尉役】チョ・ジェユン
【ソン・サングン専務理事役】パク・チイル
【チュ記者役】キム・ミンジェ
【シン次長役】キム・ウィソン
【私服役】ウォン・プンヨン
【ムン執事役】チェ・ジョンニュル
【暗殺隊員役】ソン・ジェリム
【ドンチョルの妻役】ナム・ボラ
【解剖検査医役】キ・ジュボン
【チェ少佐役】チョ・ソギョン
【パク・コノ会長役】ソン・ジェホ
映画『セブンデイズ』『殺人者の記憶法』のウォン・シニョン監督による作品。
ドラマ『トッケビ』や映画『新感染ファイナル・エクスプレス』で大ブレイクしたコン・ユのアクション初挑戦作です。
実は一度出演を断ったそうですが、監督と話をして考え直したんだとか。
本作の音楽は、アクションシーンやサスペンスチックな場面にピッタリなドキドキ感のあるもので、歌ものではないのは正解でしたね!
サスペクト 哀しき容疑者 あらすじ
韓国で運転代行業をして暮らしているチ・ドンチョル(コンユ)は脱北者で、ある目的のために生きていました。
彼はかつて北朝鮮特殊部隊の優秀な工作員でしたが、妻と子供を殺した犯人を追って脱北したのです。
ある日、彼に親身になってくれるユン会長が何者かに殺されてしまい、しかもドンチョルが殺人容疑をかけられてしまいます。
会長が殺される前にドンチョルはあるものを預かっていたのですが、それを巡り政府や暗殺者たちから狙われることに。
それ以降、追っ手をかわしながら妻子を殺した犯人を追うという二重の追跡劇を繰り広げることになってしまうのでした。
サスペクト 哀しき容疑者 みどころ
本作は、アクションエンターテインメント作品でありながらきっちりと南北問題も描き、”悪者”としての北朝鮮ではなく、悲しき脱北者や北の食料問題などが描かれてるのが特徴です。
コン・ユとパク・ヒスンの男前対決も見ものですし、チョ・ソンハ、ユ・ダイン、キム・ソンギュン、チョ・ジェユンらも皆魅力的でした。
基本は”追跡もの”というサスペンスアクションの定番な流れで、殺人容疑をかけられたドンチョルを追うのが因縁のあるミン・セフン大佐や、謎多きキム・ソッコ室長に長年ドンチョルを調べてきたチェ・ギョンヒ記者。そしてドンチョル自身も妻子を殺した奴を追っているです。
この定番の追走劇を蹴り広げるうちに、事件の真相が分かってきたり陰謀が見えてきたりして、誰が敵で誰が味方かわからなくなるというもの。
これ自体は珍しいものではないんですが、そこにドンチョルの悲しい過去や、脱北者の悲しい現実、そしてそれを利用するもの・される者なども描かれていて、社会派ドラマの一面も出てくるんです。
そういったシンプルながらも面白いストーリーが下地にあるため、ただアクションが素晴らしいとか、ハラハラドキドキのサスペンスというだけでは語れない作品に仕上がっているんです。
複雑な人間ドラマ、南北問題、リアルアクション、想像以上に危険なカーアクションなど見所はたっぷりですが、登場人物がいい意味でも悪い意味でも存在感抜群ということが本作が面白い要因だと思います。
サスペクト悲しき容疑者 続編はある?
この映画の公開に当たり、主演のパクヒスンが
「観客動員数が1000万人を突破したら続編を制作する」
という公約を冗談交じりに話すと、コンユが
「制作者はあちらにいらっしゃる(自分たちではない)」
と突っ込み、それに対して
「もし制作されたら、快く出演したい」
と話す場面がありました。
結果は1000万人に及ばず、続編についても特に情報はありませんでした。
サスペクト 哀しき容疑者 感想と評価・評判
韓国の『ボーン・シリーズ』と呼ばれただけあって、シリアスさとエンターテインメントがうまく融合した作品になっています。
これまでのコン・ユのイメージを覆し、新たな魅力が花開いた作品だと思います!
物語の設定としてはハリウッド作品などで良く見かけるものなんですが、それを南北問題にうまく当てはめて”怖い北”と”同情すべき北”という両面をうまく描いていて、ただアクションがスゴいだけの作品で終わらせてないのが素晴らしいです。
特にコン・ユとパク・ヒスンのカッコ良さたるや凄まじく、最初対立しあっていた二人(どちらかというとセフンの恨みによるもの)が、後半になって見せる”情”には泣かされましたね。
その二人と敵対するチョ・ソンハ演じるキム・ソッコ室長の悪いこと憎たらしいこと!
この人の悪役ぶりが飛び抜けているため、他の人間の正義感が際立っていたんだと思います。
ソッコの不正を暴こうと奮闘していた紅一点のギョンヒ記者もカッコいい女性でしたし、変に恋愛要素を入れてないのも良かったですね。
そんなふうに、脱北者、韓国軍人、報道記者、裏切り者、という人たちの複雑な人間関係も面白く、そして骨太のアクションシーンの連続に日本ではまぁお目にかかれない抜群のカーチェイスと、予想以上に素晴らしいアクション映画になっています。
金の為に国を裏切っていたり、権力者たちは腐敗していたり、脱北者を家族を盾に脅してうまく使うなど、反吐が出る奴らが多く登場するんですが、ちゃんと正義の為に奮闘する人や救いも描かれているためスッキリとした気分で見終わることが出来ました!
韓国のアクション映画だと『ベテラン』が物凄い大ヒットとなりましたが、個人的には本作の方が断然面白かったですね!
最後に
昨今の韓国映画のトレンドは大きく4つに分けられています。
それは近過去劇(20世紀の激動を描いたもの)、時代劇、南北関係映画、そして社会問題を題材とした映画です。
もちろんそこにアクションやサスペンス、SFにラブコメ、ヒューマンドラマといったジャンルがあるのですが、世界や日本の映画と比べると韓国映画はファンタジーやユルい作品は少なく(あるのかもしれませんがヒットしない)、実際にあった出来事などをモチーフとしてエンターテインメントに仕上げるのが非常に上手いんです。
日本で社会問題を扱ったものを映像化すると、どうしてもシリアスになったり小難しくなったりします。
確かにメッセージ性は大事ですが、多くの人に見てもらい伝わらなければ意味がないわけで、頑なに真面目に作るだけではエンターテインメントとして見るとやはり面白味がなく、実際韓国のそれと比べるとヒットしていませんよね。
例えば”南北問題”なんかはかなりな問題だと思うんですが、それをエンターテインメントの中に躊躇なく取り入れて、しかも大ヒットとなる映画に仕上げるなんてスゴいことです。
韓国映画の様に日本のトレンドを考えてみると、漫画の実写化映画、大ヒット小説の映画化、アニメ、とかでしょうか?
どちらが良い、悪いと比べるものではありませんが、日本はもっと頑張って欲しいですね。