イ・ソンミン、キム・サンホ共演によるサスペンス・スリラー。
偶然ある殺人現場を目撃してしまった男の葛藤と恐怖を描く!
キャスト、あらすじ、感想などをまとめました。
(トップ画像公式ページより)
目撃者【韓国映画】キャスト一覧
2018年8月15日韓国にて公開(日本公開日2019年3月29日)
上映時間:111分
監督:チョ・ギュジャン
「その日の雰囲気」など
脚本:イ・ヨンジョン
「黒い家」「サイコメトリー残留思念」など
製作総指揮:キム・ウテク
「新しき世界」
「7番房の奇跡」
「新感染ファイナル・エクスプレス」など
【サンフン役】イ・ソンミン
保険会社勤務。
【チャン役】キム・サンホ
刑事。
【スジン役】チン・ギョン
サンフンの妻。
【ソン・テホ役】クァク・シヤン
殺人犯。
本作は上記の作品以外にも「マラソン」「グエムル漢江の怪物」「嘆きのピエタ」など数多くのヒット作や名作をプロデュース/製作総指揮してきたキム・ウテクEP(エグゼクティブ・プロデューサー)による作品で、韓国に実在した連続殺人事件モチーフにしています。
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目撃者【韓国映画】あらすじ
保険会社に勤めるサンフンは泥酔したまま帰宅し、女の悲鳴を耳にすることに。サンフン(イソンミン)がベランダから外を覗くと、ハンマーを振りかざした男が女を殴る場面を目撃してしまったのです。
犯人に気づかれたかもしれないと思ったサンフンは、翌日事件が発覚し警察からの聞き込みがはじまるも、恐怖から知らんぷりをしてしまいます。
それ以降、何をするにも緊張感が取れないサンフンは、家族が事件に巻き込まれることを恐れて徹底的に事件とは関わらないようにします。
しかしある日、マンションの他の住人から殺人犯を目撃したのではないかと問い詰められ、一緒に警察に行こうと誘われます。
連日の無言電話や付きまとう怪しい男の存在に怯えていたサンフンは、怒って追い返してしまったのですが・・・。
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目撃者【韓国映画】みどころ
本作は、ある殺人現場を目撃してしまったことで様々な事件に巻き込まれていく主人公の姿を描いたサスペンス・スリラー作品です。
主人公は刑事でも探偵でもなくごく普通の保険屋さん。妻と子供がいてマンションを購入したばかりという主人公は、偶然殺人犯を目撃してしまってことで日常生活に身が入らなくなります。
本作は犯人の正体を探ったり事件について調べていくといった内容ではなく、目撃者という立場に怯える主人公の恐怖心を描いた作品です。
犯人に気づかれたかもしれないという恐怖心と、警察に言うべきだという正義感との間で葛藤することになるんですが、事件に対するマンションの他の住人たちからの反応や、たびたび掛かってくる無言の電話によりますます口をつぐむようになります。
サスペンス的にはあまり派手な展開がある作品ではありません。
主人公の気持ちを想像すると残酷な殺人事件を見るよりも恐ろしく、目撃者として主人公がどのような行動を取るのかに注目することに。
主演を演じたイ・ソンミンの渾身の演技はもちろん、刑事役のキム・サンホの存在感も抜群で、謎だらけの犯人を演じるクァク・シヤンの恐ろしさも必見です!
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目撃者【韓国映画】感想・評価
財閥の犯罪や連続殺人事件なんてものは作品としては面白いのですが、現実味があるかと言われればそんなことはなく、犯罪者と警察や政治家なんかが裏で繋がっているという設定も自分には関係ないからこそ楽しめるというもの。
ですが、本作は自分が暮らすマンションの近くで事件が起きて、たまたま夜中に帰宅したサラリーマンがそれを目撃してしまいます。
主人公はごく普通の一般人なので、その恐ろしさはとんでもないものでしょうし、刑事や探偵が主人公の作品のように自ら捜査に乗り出すなんてこともありません。
つまり、普段は非現実的な話としてサスペンスやミステリーを楽しんでいたのに、本作の設定は視聴者の多くが共感出来るし、「ひょっとしたら私の身にもこんなことが起きることがあるのかも!?」と思え恐ろしくなるんです。
本作はサスペンスやミステリーというよりも、ホラーやスリラー的な作品だと言えますね。
人が何人も殺されたとか、残虐な殺され方をした、または権力者が口封じのために殺したという方がストーリーとしては派手だとは思いますが、本作はそういったものとはテイストが違い、たまたま事件を目撃してしまった人の恐怖や苦悩を描いているんです。
このように事件自体は他のサスペンスよりも地味でありながら(のちのち事件のスケールは大きくなっていきますが…)、こういう恐怖があるんだと考えると何かを目撃してしまったとしても安易に通報なんて出来ませんし、そんな理由から未解決事件が増えてしまうのも分かる気がします。
それにしても、殺人事件というと夜に起こるものだと思い込んでいたので、本作のように白昼堂々と住宅街で起きるというのはシチュエーションが日常過ぎて逆に怖かったです。
それに我関せずのマンション住人や自宅の価値が下がることばかり考える人たちについても、それが集団心理でリアルな反応だとは言え気持ちのいいものではありませんでした。
実は周りに無関心な社会についての映画でもあるんですよね。
日本人からすれば警察にすぐに言えばいいとか(言うだけなら簡単だけど実際に自分がそうなったら名乗り出る自信はありませんね)、マンションの住人が冷た過ぎると腹が立つと思いますが、それが当たり前(?)の韓国だからこそ主人公は誰にも言えなかったんでしょうし、警察にも期待できなかったんだと思います。
そう思うと主人公の行動も分からないではありませんし、極限状態に陥って正常な判断が出来るとも思えません。
あとで思い出すと早く警察に行けば良かったと思っても、その時はそんな余裕が無かったんだろうな。
主人公の行動が褒められたものではないことは理解出来ても、一方で関わりたくないという気持ちも分かるんですよね。
案の定警察は不甲斐なかったですし、すぐに警察に駆け込んでいたとしても誰かが犠牲になったことでしょう。
まとめ:主人公の行動を理解できるかどうかで評価が割れる作品!
「ある殺人事件を偶然目撃してしまった男の話」と聞いて正直地味だと思っていました。実際は地味どころかトンでもなく怖いのに目が離せなくなる面白い作品でした。
よく考えると色々と突っ込みどころもあるものの、イ・ソンミン&キム・サンホというおじさん俳優の熱演が凄くどうでもよくなりました。
最後に
本作は設定や展開の面白さで見せる作品ではありません。目撃者となってしまった主人公にスポットを当てて、「こんなことが現実に起きるかもしれない!?」という恐怖感を与えることでストーリーに引き込む作りになっています。
よく考えると主人公の行動が理解できなかったり、警察が無能すぎたりというところもあるのですが、それはサスペンスやミステリーをよく見る人の考えであって(警察はダメダメでしたが…)、実際に同じような状況に置かれたとしたら主人公と近い行動を取るかもしれません。
そんな風に思えたのもイ・ソンミンとキム・サンホの演技力とによるところが大きく、特にイ・ソンミンの表情は素晴らしかったと思います。
サスペンスやミステリーでは本作のような日中に犯行を行う作品は少なく、夜になって暗い場所に行くからこそ「何か起きるぞ」という期待感が高まります。
そういった点から見ると、犯人が日中に堂々と自宅周辺をうろついたり、常に見られているという視線を感じる方が怖く感じましたし、それこそが本作のポイントなんだと思いました。
犯人についても最後まで謎だらけで、ほとんどしゃべらなかったり直接的な行動をとらずに主人公に目撃者として警察に駆け込まないよう見張り続けます。
そして犯人の心理状態や事件を起こした背景などもほとんど描かれておらず、どんな人物かが分からないからこそ怖いというのもありました。
これは主人公の行動を批判するような映画ではなく、そんな行動や考えをしてしまう主人公を生み出した社会への批判が込められている作品だと思いますね!
ただ、クライマックスで起こるハプニング(?)については必要かどうか微妙なところですが。。。