「パラサイト 半地下の家族」に次ぐ大傑作と称されたチョン・イルとラ・ミランW主演によるヒューマンドラマ。
ホームレス一家と裕福な訳あり夫婦の出逢いが引き起こす衝撃の展開を描く!
キャスト、あらすじ、感想などをまとめました。
(トップ画像公式ページより)
高速道路家族【韓国映画】キャスト
2022年11月2日韓国にて公開
(日本公開日2023年4月21日)
上映時間:128分
監督・脚本:イ・サンムン
【ギウ役】チョン・イル
高速道路のサービスエリアを転々とするホームレス一家の家長。
【ヨンソン役】ラ・ミラン
中古家具屋経営者
【ジスク役】キム・スルギ
ギウの妻
【ドファン役】ペク・ヒョンジン
ヨンソンの夫
【ウニ役】ソ・イス
ギウの娘 9歳
【テク役】パク・ダオン
ギウの息子 5歳
高速道路家族 あらすじ
サービスエリアを転々としながらテントで寝るという暮らしを妻と二人の子供たちとしているギウ(チョンイル)。
彼らは人の良さそうな人を見つけてはお金を借りるという詐欺行為を繰り返して家族は食いつないできた。
そんなある日、ギウがすでにお金を借りたことのあるヨンソン(ラミラン)と別のサービスエリアで再会してしまい、ギウ家族の事を不審に思ったヨンソンによって警察に通報され逮捕されてしまう。
身重のギウの妻ジスクと子どもたちを放っておけずに家へ連れ帰ったヨンソンは、夫の反対をよそに一緒に暮らすことにするのだが、ヨンソン夫婦もある問題を抱えており…。
高速道路家族韓国での評価
総観客数は24489人。
家族の意味を考えさせるストーリー。犯罪行為をする家族をテーマにした点で是枝監督を思い出す。類似家族の温かさをファンタジーのように強調するのではなく、人物の葛藤と傷、喪失に焦点を合わせて現実感を浮き彫りにした。極端な感情起伏をする主人公を引き受けたチョンイルの演技力が再評価される作品。(映画ジャーナリスト)
商業的映画ではないことは確実。曖昧な不快感だけ投げかけ、最後はすっきり終わらない感じ。(ネットの口コミ)
もやもやするし、結末は何だか無理やりな感じ。演技力は良かったけど。(ネットの口コミ)
高速道路家族 感想・評価
「万引き家族」✕「パラサイト 半地下の家族」?というようなテイストの作品。
とはいえ、同じレベルの傑作かと言われればそうではなく、系統やテーマが近いだけの二番煎じといった感じでしょうか…。
2つの家族が出合ったことで展開に変化が訪れるという展開は定番だけど期待感の高いものでしたが、そもそも韓国では線路の上を歩いてても誰にも見つからないのか?というものや、サービスエリアに徒歩だけで入れるのか?という疑問があり、そこが変に気になってしまいました。
ホームレス一家が嘘をついてサービスエリアにいる人たちから金を巻き上げるという行為。
日本なら成功率が高そうだなぁと思いながら見ていましたが、それにしてもギウは厄介そうな相手に声をかけていたり、予想される質問の答えを用意してなかったりと「どうせやるならもっと上手く出来たのでは!?」というのが引っ掛かるところ。
サービスエリアのスタッフから撤去勧告されたのに同じ場所に居続けたのも失敗ですしね。
そして一番の問題なのが説明不足感が強いこと!
終盤になってやっとホームレス一家の過去が少し描かれるのですが、それでもかなり端折ったもので同情するまでには至りません。子供が可哀相だとは思うんですけどね…。
ホームレス一家を受け入れたヨンソンが家族に感情移入し涙する理由は分かるのですが、肝心のホームレス一家が何故家もなく仕事もなく子供を学校に通わせずこんな生活をしているのかがハッキリしません。
主人公は過去に詐欺にあって無一文となり、それ以降何かしら心の病気を抱えているのは分かるものの、そこから現在までに何があったのかは想像するしかありません。
一家がここまでに落ちぶれたのにはそれなりの理由があるのでしょうが、そこは推測するしかないのでギウに対しての同情心よりもイライラの方が上回ってしまうんです!
ギウとジスクがどうやって出会い、二人の子供がいて妻は妊娠までしてるのに、何故仕事につかずにサービスエリアを転々としているのか?
そして、ジスクが頼りないギウに対して負い目を感じているのかも想像するしかありません。
事情が明かされたとしてもギウがダメな夫なのは変わらないと思いますが…。
このように、キャラクターに対して感情移入しにくい作りになっているのが残念なポイントですかね!
まとめ:作品を通して言いたいことは何となくは分かるのですが、ガッツリと社会問題を描くのでも犯罪を犯すしかなかった事情を描くのでもないので、テーマがぼんやりしているという印象が強かったですね。
どういう理由があっても父親として間違いなくクズですし、子供たちがあまりにも可哀相で仕方ない!
終盤・結末の感想は?
韓国での評価は「パラサイト 半地下の家族」に次ぐ大傑作と言われたようですが、正直描かれなかった部分に対してのフラストレーションが強く物足りなさを感じました。
※ネタバレあり!
終盤にスリラー展開になるのは「パラサイト 半地下の家族」と似たようなものでしたし、ギウとジスクが炎に包まれる展開はショッキングでしたが泣けるわけでもなく…。
ジスクが無事出産し、子供たちも幸せに暮らしているというハッピーエンドな展開は、妄想なのか現実なのかハッキリしない(ラストカットからして多分ギウとジスクは亡くなったのかな?)ですし、結局終始モヤモヤさせられるだけ。
ギウも騙された側なのに人々から責められてトラウマを負ってしまったのは悲しいことですが、だからといって妻や子供がいるのにホームレスになって詐欺を働き生きていくというのは理解も共感も到底出来ませんし、その選択をした理由も描かれないのでただのクズにしか思えません。
そんな家族を助けてくれたヨンソンがすごい人なのは間違いないので、彼女がホームレス一家を再生させるドラマにした方が分かりやすかったと思います。
なぜスリラー的展開を選んだのか??