下書きなしの一発描き！で圧倒的な画力を誇り、世界から注目される韓国のイラストレーター、キムジョンギさん。
日本のイラストレーターからも神と呼ばれるほど尊敬されている方です。
2022年10月、突然の訃報がありました。
プロフィールと来歴、インスタグラムをまとめました。
（トップ画像https://n.news.naver.com/より）
キムジョンギのプロフィール
김정기 キム・ジョンギ
1975年2月7日生まれ
韓国高陽市
６歳（韓国年齢）の時にプレゼントされたスケッチブックの表紙がとてもきれいで、その時から絵に関心を持つようになりました。
子供の頃は欲しいものを描くのが好きで、例えば靴が欲しいと思ったら友達の靴や広告などを徹底的に観察。
小学校の時の絵日記を見ると人は単純に描いているのに靴だけがやたら詳細だったり・・・。
お父さんの靴も書いてみようか、お母さんのは？靴の後は足を描いてみたくなったり、自転車が欲しくなってはそれを描いたり、こうやってどんどん描けるスペクトルが広がっていったそうです。
幼いころから視覚的記憶力に長けており、例えば映画を見た後はその登場人物を思い出して描いたりしていました。
それは訓練のつもりではありませんでしたが、結果的に物事の特徴を捉えることや状況をどう構成するかという訓練になった、とのこと。
こうして幼いころから漫画家を夢見るようになり、それは大人になるまで一度も変わることはありませんでした。
漫画アシスタントを経て2001年（満26歳）に漫画家デビューしますが、出版社11社全部拒絶されてしまいます。それは
「現在の韓国漫画と合わない画風」
という理由からでした。
当時はドラゴンボールのような、目が大きくかわいい絵が流行っていて、それに合わせて画風を変えるべきなのか、とても悩んだそうです。
そんな時に知り合いの兄貴に
「おまえはこのままでいい」
とアドバイスされ、とても励まされたとか。
その後、スラムダンクの人気からリアルな絵が台頭するようになり、キムジョンギさんの絵も認められるようになっていきました。
キムジョンギさんはこれと並行して、弘大（ホンデ）の街にあるアニメ／漫画入試学院の院長を13年間していました。
この時同僚のキムヒョンジン作家と日本旅行したことがありましたが、一度通り過ぎただけの道の絵を一気に描いたことがあったそうです。
このときキムヒョンジン作家はキムジョンギさんがサヴァン症候群じゃないかと思ったとか。（ご本人がのちにそうではないと否定しています）
海外活動の起点となった2011年
2011年富川国際漫画祭りで披露したライブドローイングを通じて世界的な脚光を浴びるように。
Youtubeに公開されるやその波及効果により、海外からオファーが殺到。
サインペン一発書きの極致を見たぜ！！これはほんとすげえ。キム ジンギさん。韓国の方。世界にはまだ見ぬ天才がいっぱいいるのだなあ。http://t.co/qoL3kwLg
— 村田雄介 (@NEBU_KURO) March 25, 2012
↑日本では人気漫画家村田雄介さんのこのツイートがきっかけで、知名度が上がったと言われています。
（のちにお名前を間違えていた【ジンギ→ジョンギ】ことをツイートしています）
2017年から作家としての活動が増え、院長をやめて共に学院を運営していたキムヒョンジン作家とスーパーアニチームを作り始動。
そしてマーベル、DCコミックス、ブリザード（米ゲーム会社）、ダンジョン＆ファイター（ゲーム）、海外作家とのコラボ、ジャンルを問わずあまりにたくさんのフィルモグラフィーを積みました。
スランプを経験したことがない、とのことでご本人は
「おそらくいい絵を描かなければという負担を感じておらず、自分が好きなように気楽に描いて来たからだ」
としています。
空白の紙を埋めることに対する恐怖やためらいもなく、もしそんな瞬間が来たらその時が引退の日になるだろう、と話していました。
寺田克也氏と画集
2017年3月、日韓を代表するイラストレーターの画集が発売されました。
↑アマゾン商品レビューも高い評価ばかりです。
キム・ジョンギ、彼のライブドローイングを収めた画像は、You Tubeで240万再生を超える人気を誇ります。
村上 隆氏による招聘で、東京/Hidari Zingaroでキム氏の個展を実施したり、かねてから付き合いのあった寺田克也氏ともライブペイントでコラボレーションを行い、多くの客を集め大盛況を収めています。イベントで意気投合した寺田氏は韓国のキム氏の事務所を訪問し、このコラボブックのために二人で1日中絵を描いて過ごしたそうです。
世界的に注目の高い作家二人による夢のコラボがカタチになり、ついに画集として奇跡の1冊が完成いたしました!（アマゾン商品ページより）
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2022年9月23日の投稿
つい最近もコラボしていたんですね。
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2022年9月20日。
寺田克也さんと食事中の一コマ。↑
ぺんてるを愛用
キムジョンギさんはぺんてる筆を愛用していました。
寺田克也さん、大友克洋さんとも交流が深い「ぺんてる筆を武器」とまで言い切るキム・ジョンギさんの取材記事後編。描き方の秘密に迫るよ。
下描きなし。底なしの記憶力と表現力。キム・ジョンギ氏のライブドローイング（後編） – 表現の道具箱 https://t.co/ZsSoSjN17x pic.twitter.com/GIKqLlR57A
— ぺぺ【ぺんてる公式】 (@pentel_pepe) September 1, 2017
↑ぺんてる公式ツイッターより
突然の訃報
2022年10月3日、ヨーロッパでの仕事を終えてニューヨークに向かおうとしていたところ、心臓に異常を感じて病院に搬送されましたが、回復しないまま急性心筋梗塞で亡くなりました。
兵役では特戦士を務めたほど体が丈夫で、普段も健康に気を遣っていたそうで、前日までフランスで作品活動をしていたため、突然の訃報は大きな衝撃を与えました。
キム・ジョンギさんのご訃報に接し、心から哀悼の意を表します。
キムさんはぺんてる筆を愛用されており、弊社にお越しの際に見せてくださったライブドローイングに、一同感激いたしました。
筆ペンの表現の素晴らしい可能性を教えてくださり、本当にありがとうございました。https://t.co/M3kBKlCf2j pic.twitter.com/onmal8La2N— ぺぺ【ぺんてる公式】 (@pentel_pepe) October 6, 2022
3日に、キム先生から贈って頂いた画集を受け取ったばかりでした。キム先生、本当にありがとうございました。 pic.twitter.com/eyun2D9bg8
— 村田雄介 (@NEBU_KURO) October 5, 2022
その時イラストを描いて下さったキムジョンギ先生の動画もありました。まっさらな所からサラサラと魔法の様にイラストが生まれて完成して行く様は圧巻としか言い様がなく… pic.twitter.com/0IjxErwroc
— 風間雷太 RaitaKazama (@kazamaraita) October 5, 2022
神の領域の絵師、キムジョンギさんが若くして亡くなってしまった。
多くの絵描き、漫画家が衝撃を受け一度はその方法を真似したけどこんなことできないと挫折した絵師でした。
（僕だそれ）心よりご冥福をお祈りします。
残念です。— 古屋兎丸 (@usamarus2001) October 5, 2022
日本からも多くの追悼の言葉が投稿されています。
キムジョンギのインスタグラム
とにかく素晴らしい絵の数々ですので是非見てみてください。
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こちらが最後の投稿になります。
ご冥福をお祈りいたします。
最後に
奥さんは1歳年上でイラストレーター兼漫画家のソ・スヒョンさん。
家族は長女と長男と４人。
娘さんの年齢はわかりませんが、息子さんは2022年時点で中１だそうで、息子さんはお父さんに似てとても絵が上手いのだそうです。