ドラマ「秘密の森2」の初回視聴率はあの「愛の不時着」をも上回るもので、前作の世界観を引き継ぎつつも更に深い内容の作品になっていました。
しかし、観る人によっては難しいと感じてしまうようなので、今回は「秘密の森」についての解説と、シーズン3についてをまとめました。
ドラマ秘密の森とは?
映画「マラソン」やミュージカルや舞台でも活躍する名優チョ・スンウさん(「馬医」の主演としても有名)と、ハリウッド作品や日本映画にも出演している女優ペ・ドゥナさんが共演し数多くのドラマ賞を獲得した2017年の名作サスペンスドラマ!
シリーズ第1弾では検察の不正と財閥との繋がりを暴くことがメインで、主人公ファン・シモクは脳の手術による影響で感情を失っているという設定もあり、感情面は相棒で刑事のハン・ヨジンが担当していました。
舞台は西部地検で、ある殺人事件を切っ掛けに検察内部の不正が明らかになっていきます。
喜怒哀楽の無いシモクは人間関係を築くことにも無関心で、有能ではあるものの同僚の検事や上司からは冷酷な人間として周知されていました。
しかし、そんなシモクの才能に気付き重用してくれていたのがユ・ジェミョン演じる次長検事イ・チャンジュンでした。
イ・ジュニョク演じる先輩検事ソ・ドンジェが要領の良さを活かしてうまく立ち回っていく中、シモクは独自路線を突き進み、次第にハンジョグループやイ・チャンジュンとも敵対していくようになります。
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ドラマ秘密の森2の解説
主人公ファン・シモクとハン・ヨジン
「秘密の森」の時は、西部地検刑事3部検事だったファン・シモクと、龍山警察署強力班刑事だったハン・ヨジンですが、シーズン2では最高検察庁刑事法制団所属の検事と、警察庁捜査権革新団所属の主任刑事という立場に変わっています。
そしてシーズン1では事件を一緒に追っていた2人は、本作ではお互いに捜査権について検討する代表団の一員となっていて、ある意味敵対する立場になります。
ここで面白いのが、前作で検察の幹部と財閥との繋がりを暴き有名になったシモクが出世することなく地検(地方検察庁)を転々としているということ。
一般的に見れば有能な検事ではあるものの、組織からすれば厄介者ということで中央(ソウル)から飛ばされていたんですね。
ですが、本作では捜査権を巡って警察の代表と意見交換するということから、知名度のあるシモクを呼び寄せたんですね。
一方のヨジンは龍山警察署から警察庁へ出向し、警察の捜査権の独立を目指すために活動している捜査権革新団のメンバーにも選ばれることになります。
出世はしたものの団長であるチェ・ビッに重用されることから、他のエリート警官からは妬まれることに。
そんな二人がソウルで久々に再会することになるのですが、警察の捜査権を巡って対立する立場でありながら安易にぶつかり合うこともなく、又してもいくつもの事件を一緒に調べていくことになります。
ハンジョグループとは?
作中で巨大な権力を誇る韓国財閥。
本作では会長となっているユン・セアは、前会長イ・ユンボムの娘であり次長検事イ・チャンジュンの妻でもあります。
つまりは、ここで財閥と検察の繋がりが出来ていて、これが「秘密の森」の軸となっているんです。
イ・チャンジュン本人は元々有能な検事ではあるんですが、一方でハンジョグループの婿という肩書きが影響を及ぼして検察組織の中でも権勢を誇っていくようになります。
韓国の検察と警察について
前作のテーマ自体は財閥と検察の黒い交友というよくあるものでしたが、加えて人間味溢れるドラマや組織の内情なども描かれていたため、他の作品とは一線を画すリアルな内容になっていました。
しかし、本作では韓国特有の検察と警察の関係性というものが描かれているので、その辺りを少し理解しておかないと話に入り込めないという事態も起きます。
日本だと警察が事件を捜査し、自ら令状を裁判所に請求し逮捕などすることが出来るのですが、韓国ではこの令状請求を警察が直接行うことが出来なく、検察に依頼して請求してもらわなくてはなりません。
そのため警察が犯人だと睨んでいても検察がそれを許可しなかったり、権力者などから検察に圧力がかかり事件として扱われないなどということも起きてしまい、このような事が度々映画やドラマのネタとして描かれているようなんです。
日本だと検察を舞台とした作品よりも圧倒的に警察が舞台の作品の方が多いのですが、韓国でそれが逆転しているのはこういう状況があるからなんですね。
つまりは検察は自ら捜査も逮捕も出来るのに、警察は検察にお伺いを立てないといけなく、自然と上下関係が出来てしまっているんです。
例えば、韓国で検察官の不正が起きたりしても警察官が捜査・逮捕することは出来ず、権力を握っている検察が身内を庇ったり事件を揉み消したりということも度々起きるそうで、その影響力を利用しようと大企業が引き抜いたり、検察出身の政治家というのも多いようなんです。
このような問題が起きるのは、韓国検察が”起訴権”と警察への”捜査指揮権”の両方を持っているということが要因の一つとなっているんですね。
こんな状況が韓国では約70年も続いているそうで、実際に「検察・警察捜査権調整」というのは文大統領が力を入れているという非常にタイムリーなテーマなんです!
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残された謎や問題と、続編シーズン3は?
結果としてそれぞれが属する組織の不正を暴くことになったシモクとヨジン。
本作の後、二人がどのような道を進んでいくことになるのかというのが一番気になるところですね!
そして、前作に引き続き検察からマークされているハンジョグループですが、今後は現会長のユン・セアと兄との後継者争いがさらに本格化していきそうです。
前作では主要人物だった前会長のイ・ユンボムやユン・セアの兄は登場せず名前だけしか出て来なかったので、シーズン3があるならばそちらがメインとなるかもしれませんね。
それに伴って、本作では明らかにされなかった警察官の自殺事件についてや、弁護士の事故死の背後にどのような事情が隠されていたのかという謎も描かれるかもしれません。
普通のサスペンスドラマだと、財閥の会長が捕まった時点で終わりとなってしまいますが、本シリーズではそんな簡単に終わりません。
シーズン1で会長イ・ユンボムを逮捕したものの、娘が後を継いでグループは存続していますし、検察をはじめとする組織との繋がりも続いているようなんです。
つまりは、検察との秘密の繋がりを暴いたくらいでは財閥はびくともしないということで、その後組織がどうなっていくのかをちゃんと描いているのが本シリーズの面白さでありリアルなところだと言えます。