チ・チャンウク主演!
犯罪組織への潜入捜査という王道設定のノワールものであり、主人公3人の複雑な人間関係を同時に描いた作品。
ドラマ「最悪の悪(さいあくのあく)」の感想、キャストなどをまとめました。
(トップ画像公式ページより)
最悪の悪 感想・評価
名作映画「新しい世界」の制作陣による作品であり、「ヒーラー」や「K2」で見せたチ・チャンウクのアクションが拝めるという期待大のドラマで、激しい犯罪組織の抗争が連続ドラマで見れるという類稀なる作品でした。
ヤクを扱うかどうかで古参勢と揉めるのも、昔ながらのやり方に異を唱える新参者たちが反旗を翻して組を乗っ取る流れもお決まりですし、組織に潜入した警察官が上層部に利用されて傷付いていくのも、潜入先で信頼を得て成り上がっていくのも定番。
そして組織内に裏切り者がいると分かり仲間を疑い始めるのも、主人公の正体がバレるかもしれないという展開と共にスリリングなものになっています。
つまり「仁義なき戦い」のような王道設定がありながらも、「男たちの挽歌」や「インファナル・アフェア」といった潜入捜査もののお決まりも踏襲しているということで、アクションだけでなく人間ドラマとしても面白いんですよね!
分かりやすいみどころは痛々しいアクションシーンではありますが、日常生活や家族を犠牲にして犯罪組織に潜入する刑事の苦悩と変化を描く方がメインであり、そこに犯罪者であるギチョルに認められていく展開や主人公が妻とその家族に感じていた負い目などが描かれます。
エリートである妻ウィジョンと比較されることに悩んでいた主人公が、潜入捜査を成功させることで昇進を狙う。
この方がただの正義感から来るものよりもよほど信憑性があり、それなのに結局はウィジョンの手助けなしには任務を遂行できなくなるというのは皮肉でしたね。
この妻に対する負い目からくる成功欲が物語に大きく関わってきて、しかも妻と組織のボスであるギチョルとの関係を疑い嫉妬することになるという愛憎劇的な展開があるのが韓国ドラマらしいと感じました。
ただ、乱闘シーンの激しさやストーリーは間違いなく面白いのですが、ヤクザのキャラクター描写に関しては微妙でした。
主人公を演じたチ・チャンウクのイケメンっぷりや、潜入捜査をしていく中で身も心も悪になっていく演技は見事でしたが、ほかのキャラクターはチンピラなのかヤクザなのかパッと見で分かりません。
他の作品でもそうなので、日本みたいにわかりやすいヤクザはいないのかもしれませんが、イマイチ見た目のインパクトに欠けるんですよね。
ギチョルにも正直カリスマ性を感じませんでしたし、仲間から反対されてるのに押し切った結果、主人公にもウィジョンにも騙されていたり、中国とも日本とも揉めるというのはトップとしてどうなのか?主人公ほどの狂気も感じませんしね。
片やウィジョンは警察官というより女スパイのようで、ギチョルが自分を好きなことを利用して信頼を得ようとするだけで、警察官らしさが見られません。
ただ、体を張って夫のサポートをしているのに、それに気付かず主人公はギチョルに嫉妬してばかり…。
これはちょっと可哀想。そう考えると一番の被害者は彼女かもしれません。
主人公以外に好きだったのは、殺し屋のソ部長、ヘリョンとそのお目付け役、そして暴力刑事ファン・ミング!ソ部長は流石元殺し屋だけあって戦闘力が高くクールなキャラでチンピラ集団の中で一番風格がありましたし、ヘリョンを演じたキム・ヒョンソは仕事モードのクールさとプライベートのキュートさのギャップが素晴らしく、特に目の演技には惹きつけられました。
これからの活躍が期待の女優さんです!
寡黙なお目付け役もパッと見は強面だけど実はお嬢さんを心配する良い人でした。
そして、キャラとして目立っていたのはファン・ミング。
歯止めが効かない暴力性とルール無視の猪突猛進ぶりで潜入捜査を掻き回したのにはムカつきましたが、悔しいけれどキャラは立ってるんですよね。
それに加えて、捜査の邪魔ばかりしてるのに止められない警察の無能ぶりにもイライラさせられましたが、間違いなく物語後半にいい刺激を与えていました。
まとめ:刑事が犯罪組織に潜入することから生まれるスリリングさと、韓国お得意の血みどろなアクションが魅力の作品。
ドラマの設定としてはありきたりですが、それぞれの思惑が絡まった人間ドラマが抜群に面白く、主人公が警察官の道から徐々にハズレて人が変わっていく様も見事でした!
最後に
麻薬組織のトップが元DJという設定には違和感がありましたが、クラブで麻薬が蔓延してそこを仕切るものが闇組織を形成するというのはあり得ることなのかもしれません。
ーーー※ネタバレあり!ーーー
他の設定で言えば、主人公の妻ウィジョンとギチョルが初恋の相手同士で、今は刑事と組織のトップになり、しかも主人公は組織に潜入しているというのは流石にやりすぎでは!?
ロマンスものならいいですが、ノワールとしては狙い過ぎな設定に思えました。
ただ、ギチョルがウィジョンに惹かれているという関係性があるから成立しているところもあるんですけど…。
一方で、韓国ドラマとしては珍しく日本人役にちゃんと日本人を採用している・・・と思っていましたが、それは序盤に登場する日本の刑事役の人くらいで、日本のヤクザ役の人たちはやはりカタコト…。
数名くらい日本人キャスト入れればいいのに!
最悪の悪キャスト
メインキャストのプロフィールはこちら→
【カン・ジュンモ役】チ・チャンウク
【チョン・ギチョル役】ウィ・ハジュン
【ユ・ウィジョン役】イム・セミ
【ヘリョン役】キム・ヒョンソ(BIBI)