パラサイト半地下の家族|考察・匂い/臭いの意味!感想は後半が面白くない?

 

ポンジュノ監督韓国映画パラサイト半地下の家族

韓国映画初のパルムドール賞受賞作で、やアカデミー賞4部門を受賞した2019年映画「パラサイト半地下の家族」。

日本でも上映されるや大反響を呼んだ本作の感想や考察、匂いの意味についてまとめました。

(トップ画像公式ページより)

 

 

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目次

映画パラサイト半地下の家族

2019年5月30日韓国にて公開

(日本公開日2019年12月27日)

観客動員数(韓国):1,000万人超え

日本での興業収入:約46億円

世界興業収入:約266億円(2020年3月時点)

上映時間:132分

パラサイト半地下の家族 考察

これは登場する家族たちだけの問題というのではなく、そんな家族が生まれてしまった環境が問題なんだという作品だと思いました。

金持ち家族は多少鼻につくところはあるものの総体的にはいい人ですし、彼らに寄生する半地下の家族たちも小悪党程度なもの。経歴詐称などはあるものの仕事は高いレベルでこなしていますし、そのための勉強までする徹底ぶりで、お互いにウィンウィンなら何も問題ないのでは?と思えるほどでした。

しかし、表面的には上手く行っているように見えても、何気ない一言から冷酷さを感じたりします。

本作の場合はそれを「匂い」として表現していて、上手く説明は出来ないものの自分達とは違うことをそれで表しているようでした。

 

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パラサイト半地下の家族 匂い/臭いの意味とは?

皆さんも友人の家などに行った際に感じたことがあるかもしれませんが、人それぞれに生活臭と言うものがあります。

普段からそこで生活している人には何も感じなくとも、外の人からは何か匂うと感じてしまうんです。それは、その人の食生活や趣味、そして体臭などからくるもので千差万別なわけです。

しかし、本作の場合をそんな直接的な匂いというよりも、貧しい人特有の匂い”半地下臭”だと表現されていました。

お金持ちの夫婦たちも上手く説明出来ていませんでしたが、何か自分達とは違う匂いを纏っていると感じたようで、そんな自分達は気にも留めなかったものを相手から指摘されたことで、「お前たちと私たちは住む世界が違うんだ。」と暗に突きつけられたようでラストの凶行に及ぶわけです。

体臭を指摘されたのなら対処は出来るものの、生きていく内に染み付いてしまった匂いというものから区別されてしまうというのは、自分達がいくら頑張ったとしても根本が変わることはないんだと痛感したんだと思います。

見た目を装いコミュニケーションも上手くとれ、お金持ちの家族に上手く溶け込めていたと思っていた主人公たちにとって、匂いから別世界の住人だと認識されることは侮辱されるよりも辛かったことでしょう。

主人公たちの才能は認めても、二つの家族に決して越えられない壁がある、そんな現実を突きつけられ絶望したのかもしれません。

 

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パラサイト半地下の家族の感想・レビュー

ポン・ジュノ監督作品に本作ではじめて触れた人にとっては衝撃で、パルムドールやアカデミー賞受賞などの肩書きがあって見た人にも斬新に感じるかもしれませんが、初期からの監督ファンである私にとってはそれほどではありませんでした。

「ハードルが上がりすぎた!」

という理由もありますが、色んなところで絶賛されたり語り尽くされたりした作品を見ると、やはり構えて見てしまうんですよね。

だからといって面白くないか?と言われればそんなことはなく、前半の展開などは最高に笑えるし、その後の期待値も非常に高かったのは確かなんです。

キャラクターの描かれ方も絶妙で、普通の韓国ドラマだと金持ち性悪、貧乏人は素養がないと言う風に描かれがちなところを、本作の場合はそんな分かりやすいキャラクターにしていません。

金持ちだけどいい人、貧乏だけど賢いという風に描かれていて、貧富の差はあっても二つの家族はうまく打ち解けていけるように見えました。

しかし、それはあくまでも半地下の家族が嘘をついているからであって、最初から経歴を明かしていたら決して交わることがなかったんだ、ということが徐々に分かってきます。

金持ちたちは裏で陰口を言うわけでも、直接本人に告げるわけでもなく、常識ある大人な対応をしているのですが、時おり見せる素の部分から

「元々住む世界が違うから視界にも入ってないんだな。」

ということを思い知らされます。それは住む環境による生活臭や、雨の演出などに現れていて、それらの発言によって相手を侮辱しようという自覚がないのが一番の問題だと思いました。

面と向かって言わないものの、暗に自分達とは別の世界の住人だと言っているようなものですし、高台に住む金持ちたちは大雨が降っても汚れが洗い落とされるだけであり、その汚水が下層の半地下へと流れ込んでいることなど知りもしません。

つまり、相手をバカにしようとして言ったわけでもない一言が、相手にとっては酷く傷付くこともあるんだ!ということ。なんなら直接的に貧乏をバカにされた方がまだましというもので、最初から視界にも入ってなかったんだと知らされることの方が辛いはずです。

このように、直接的な表現はないものの匂わせる部分が多く、かといって堅苦しくもないというのは見事だと思いました。

 

面白い?後半が面白くない?

本作の評価については多くの方が絶賛しているんですが、中には中盤からの展開(家政婦が訪ねてきてからの展開)があまり好きではなかったという方がいます。

前半は面白かったのに、そこからテイストが変わるのがイマイチだったと感じたようで、実は私もその様に感じました。

ラストはこれでもいいと感じましたが、二家族のやりとりがもう少し長く描かれて欲しかったというのが正直なところですかね。

内容としては面白いし韓国映画らしいとも思ったんですが、全体を考えると無くても良かったように感じたんです。

何せ家政婦さんも、隠れ住んでいた旦那も濃いキャラクターなので、存在感が思った以上にあって、彼らが登場したとたんに荒唐無稽感が強くなってしまっているんです。

それよりも、最初から終盤まで二つの家族のやりとりを丁寧に描き、ラストで崩壊してしまうという方が人間ドラマとしては見応えがあったと思います。

エンタメとしては第三者が現れた方が面白いとは思いますが、地味になったとしても二家族の関係の変化やメッキが剥がれる過程などが描かれて欲しかったというのが私の意見です。

まとめ:格差社会による問題点をエンタメの中に上手く落とし込んだ名作です。

私としてはポン・ジュノ監督の最高傑作!とまでは思いませんでしたが、このようなタイプの作品が世界中で見られたことは素晴らしいことだと思います!

キャスト一覧はこちら↓

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