真木よう子、井上真央、大泉洋、キム・サンホ、イ・ジョンウン共演!
日本と韓国の俳優が共演した1970年の大阪を舞台とした人情家族ドラマです。
キャスト、あらすじ、感想、みどころ、韓国キャストのインタビューをまとめました。
(トップ画像公式ページより)
焼肉ドラゴンのキャスト一覧
2018年6月22日公開
上映時間:127分
監督、脚本、原作:鄭義信(チョン・ウィシン/てい よしのぶ)
【静花役】真木よう子
【梨花役】井上真央
【哲男役】大泉洋
【美花役】桜庭ななみ
【長谷川豊役】大谷亮平
【尹大樹役】ハン・ドンギュ
【呉日白役】イム・ヒチョル
【時生役】大江晋平
【英順役】イ・ジョンウン
【龍吉役】キム・サンホ
鄭義信さんは本作の監督であり脚本家でもある劇作家。
元々は舞台作品で、日本と韓国のコラボレーションにより両国で舞台上映されたもので、数々の演劇賞を受賞した名作として知られています。
それを原作者でもあり映画『月はどっちに出ている』『愛を乞うひと』『血と骨』などの脚本家としても名高い鄭義信さんが初監督したものです。
カテゴリーとしては「邦画」になるのですが、名作『パッチギ』のような「在日コリアン」を描いた作品で、韓国の名優もキャスティングされた作品なんです!
焼肉ドラゴンのあらすじ
舞台は高度経済成長と大阪万博に沸く1969年。
時生はこの雑多な町も学校も、自分に置かれた環境すべてが嫌いでした。
そんな時生は、小さな焼肉屋「焼肉ドラゴン」を営む龍吉と英順夫婦の長男で、静花、梨花、美花の三姉妹と共に暮らしていました。
店名の由来ともなった龍吉は戦争で片腕をなくし、帰る故郷さえも失ってしまいながらも、再婚した英順と共に明るく前向きに生きていました。
そんな焼肉ドラゴンには、姉妹の幼馴染みの哲男ら常連客たちでいつも賑わっていました。
しかし、彼らにも時代の波が押し寄せてきていて店の立ち退き話などに頭を悩ませることになるのです。
焼肉ドラゴンのみどころ
この映画はドタバタ人情喜劇であり、時代の波に翻弄されながらも強く明るく生きた家族のドラマです。
舞台が大阪ということもあり『じゃりん子チエ』的なテイストもあり、『ALWAYS三丁目の夕日』のような雰囲気もある作品なんです。
在日コリアンの話のため、キャストも言語も日本と韓国が飛び交っていて、実に雑多な焼肉屋の風景が描かれています。
一つの家族を中心に、その家族が営む焼肉屋に集まる常連客や、三姉妹の恋人たちの日常、そして一人息子の葛藤などが描かれていて、その町と同様にゴチャゴチャとした物語となっています。
その雑多な感じがこの作品のウリであり、愛憎劇やイジメ、立ち退き問題などが描かれても、作品全体にユーモアが溢れているのも特徴と言えます。
韓国人キャストの熱演は素晴らしく、片言の日本語である理由も明確で、きっちり笑いもとれているのは実に見事でした!
日本のキャストもこれに負けじと好演を見せていて、真木よう子さんの大人の美しさや、井上真央さんのこれまでにあまり見たことの無い気の強さ、桜庭ななみさんの流暢な韓国語、そしてこれまた流暢な大泉洋さんの関西弁など、それぞれにしっかりとキャラクターになりきっていました。
この映画は誰か一人が主人公というものではなく、この一家全員が主人公の作品なんです。
想像以上に笑いが散りばめられた作品なので、悲しみや感動の涙の後にすぐに笑いの涙も流せるというとても素敵な映画となっています!
韓国キャストインタビュー
桜庭ななみさんのインスタより↑
キムサンホさんは出演の理由として「本当に素晴らしい作品だし、やらない理由はなかった」とし
「父親として作品の中心となる役だからとても緊張した。一番重点を置いたのは、日本の俳優たちの信頼を得ること。彼らもプロだからすぐ親しくなれてよかった」
と話していました。
イジョンウンさんはこの映画を通じて、新しい家族の概念を学んだと言います。
そして撮影については、マネージャーもなしで一人で日本へ行き、初めは不安だったようです。
「大阪弁を指導してくだった日本語の先生がとても上手で、演じるときに楽だった」
「とても面白い経験だった。日本の俳優たちと共に作るのがすごく面白かった。新しい環境は少し怖くもあったけど、いろんな国籍の人たちと言葉は通じなくても演技したいと思った。」
と話していました。
焼肉ドラゴンの感想と評価・評判
在日コリアンを描いたのが作品というと私はすぐに『パッチギ』を思い出すのですが、この映画では直接的な差別は描かれていないのが特徴です。
戦後のゴタゴタで不法占拠していた土地から追い出されるというのは、ここだけの話だけでなく色んな場所で起こったことですが、経緯はどうであれ長年暮らしていた土地を離れなければならないというのはとても辛いことでしょう。
しかし、それを悲しい悲しいだけで描くのではなく、家族それぞれの新しい出発として描いているのがとても素敵だと思いました。
その門出が幸せなものになるかどうかは分からないけれど、龍吉の口癖にもあるように「たとえ昨日がどんなでも、明日はきっとえぇ日になる」という希望がメッセージとしてあるんだと思います。
ラストが笑いで終わるというのも大好きです!
そんな感動のシーンがいくつもある本作なんですが、最大の特徴とも言えるのがシリアスな展開が続いてたところに突如コミカルが入ってくるというもの。
そういったシーンはいくつもあり、それが実にナイスなタイミングでぽんっと放り込まれるので、それまでの重苦しさは一瞬で忘れゲラゲラと笑ってしまうんです。
それらのコミカルシーンを担ったのが大泉洋さんのツッコミであり、イ・ジョンウンさんの豪快さであり、ハン・ドンギュさんのおとぼけなんです。
元々、作品全体に暗くて重苦しい雰囲気はないのですが、だけど人生には色んな悲しい出来事は起きるわけで、それでも明るさを保っていられるのは家族や常連客たちの騒がしいほどの賑わいがあるからなんです。
笑って泣いて、また笑って、ここには人生のある形が描かれています。
ラストも決してハッピーエンドと呼べるものではないんですが、それぞれが笑って明日へと進んでいく姿に笑顔で見終わることが出来ました。
大好きな作品です!
最後に
韓国人キャストが実に素晴らしい名演を見せてくれました。
キム・サンホさんは父親の貫禄と哀しみを見せ、イ・ジョンウンさんは母の愛の深さと強烈なキャラクター性を、そしてハン・ドンギュさんのいつも一人だけノリの違うおとぼけぶりは最高でした!
彼が居ると居ないとでは、この作品のテイストが随分変わったことでしょう。