2016年韓国映画第3位となる観客動員数を記録した歴史サスペンス。
ソン・ガンホ×コン・ユ×ハン・ジミン×イ・ビョンホンという豪華共演作品!
キャストやあらすじ、感想、みどころを紹介しています。
密偵(韓国映画)キャスト
原題:密偵
2016年9月7日韓国で公開
(日本では2017年11月11日公開)
上映時間:140分
観客動員数:約750万人
監督:キム・ジウン
脚本:イ・ジミン
【イ・ジョンチュル役】ソン・ガンホ
【キム・ウジン役】コン・ユ
【ヨン・ゲスン役】ハン・ジミン
【ヒガシ役】鶴見辰吾
【ハシモト役】オム・テグ
【チェ・フェリョン役】シン・ソンロク
【キム・ジャンオク役】パク・ヒスン
【チュ・ドンソン役】ソ・ヨンジュ
【チョン・チェサン役】イ・ビョンホン
OST情報
キム・ジウン監督の作品はシーンごとでの音楽のセレクトが絶妙で、本作でもルイ・アームストロングの「When You’re Smiling」や、ラヴェルの「ボレロ」が効果的に使われています。
密偵(韓国映画)あらすじ
1920年代、日本統治時代の朝鮮半島。
イ・ジョンチュル(ソン・ガンホ)は朝鮮人でありながら日本の警察に所属し、裏切り者と呼ばれながらも義烈団という反抗組織メンバーを捕らえていました。
ある日、部長のヒガシ(鶴見辰吾)から特命を受け、ハシモト(オム・テグ)と共に義烈団の団長であるチョン・チェサン(イ・ビョンホン)を捕まえるべく行動を開始します。
まずジョンチュルは義烈団のリーダーであるキム・ウジン(コンユ)に近づき懇意になるのですが、それはチェサンによるジョンチュルを義烈団に引き込む為のものだったのです。
ジョンチュルは日本の側に情報を流しながらも、義烈団に協力しハシモトの目を欺きながら行動していくのですが、最終的にどちらの側に付くべきか葛藤することになります。
そんなこんな中、義烈団は上海から京城(現在のソウル)へ向かう列車で大量の爆弾を運ぶことになり、無事に爆弾を運びたい義烈団のメンバーたちと、情報を得て列車に乗り込んだハシモトたち警察の面々、そして二つの組織の間に挟まれるかたちになったジョンチュルの探り合いが始まることに・・・。
密偵(韓国映画)は実話なの?
本作は実話を映画化した作品というわけではなく、あくまでも義烈団が実際に起こした事件から”インスパイア”されたものです。
密偵(韓国映画)みどころ
この映画は人物描写が本当に素晴らしいです!
主人公を演じるソン・ガンホの葛藤はひしひしと伝わってきますし、日本語が予想以上にうまいのにも驚かされました。
そして、コン・ユも一見優男に見えながらも芯が強いキム・ウジンをうまく表現していますし、ハン・ジミンもこの時代の衣装が良く似合ってとても美しいんです。
更に、ハシモト役のオム・テグは高慢な感じと低い声が抜群に似合ってますし、ヒガシ役の鶴見辰吾もこの人でなければ出せない雰囲気をまとっていました。
忘れてはいけないのは、出演シーンは少ないながらも圧倒的な存在感を見せたパク・ヒスンとイ・ビョンホンで、他のキャストだとここまで惹き付けられることは無かったと思います。
基本、この作品は京城と上海を舞台とした作品なんですが、その1920年代の雰囲気を伝える建物の作りや、列車内のインテリア、警務局クラブなどの美術が見事なんです!
それにあった音楽使いやセンスも素晴らしいものですので注目していただきたいですね。
そんなキャラクター描写と時代を伝える雰囲気作りがうまいからこそサスペンスドラマとして引き込まれますし、冒頭のアクション・シーンや列車内での銃撃シーンなどもからもしっかりと時代が読み取れます。
カメラアングルもお見事で、アクション・エンターテインメント作品とは違ったリアルさが伝わってきます。
タイトルが「密偵」というだけあって、誰が誰を裏切るのか、組織内の誰が裏切り者なのか、複雑な時代背景とそれに翻弄される人間関係もみどころの作品です!
密偵(韓国映画)感想と評価・評判
140分という長い作品ながら、飽きることなく集中して見ることが出来ました。
冒頭のアクションシーンで心を鷲掴みにされ、その後に登場人物たちの人間ドラマを伝え、そして密偵が誰なのか、主人公のジョンチュルは果たして日本に魂まで売ってしまったのか、それとも義烈団に協力するのか、そういった誰が敵で誰が裏切り者なのか味方なのかわからない展開に引き込まれて行きます。
そんなに数多くないアクションシーンは時代背景と合ったリアルなものですし、拷問シーンも他の韓国映画と比べると控え目で、暴力シーンもほどほどなので、過激な韓国映画が苦手な人でも大丈夫だと思います。
この映画はいわゆるスパイを描いた作品で、ソン・ガンホ演じるジョンチュルも日本の警察官としてそれに反抗する組織に潜入することになります。
ここで面白いのが、普通こういう場合は身分を偽ったりして仲間となり情報を流すんですが、この作品ではお互いにお互いの素性を知った上で近づき、片や情報を得ようとし、片や味方に引き込もうとするわけです。
そういう展開なので、見ながら果たしてジョンチュルは警察組織の忠誠心を見せるのか、それとも愛国心を取り戻すのかに注目して見るわけです。
冒頭から、かつての友人だった男をなんとか殺したくないと思う姿だったり、義烈団のメンバーにも親しみを感じたりするなど、ハシモト程の忠誠心を感じないジョンチュルに、共感を得るのかそれとも卑怯ものだと思うのかで見方が変わってくると思います。
この作品はジャズやクラシックなどの音楽使いも絶妙で、人物・美術・音楽が融和することで説得力が生まれていると思います!
終盤の爆発シーンでのボレロはちょっとベタだなぁとは思いましたが、どうなるか分かっていてもやっぱり盛り上がりましたね。
日本統治時代の朝鮮を描くとなると、日本人が見るとちょっとツラいのかなと最初は思っていたんですが全然そんなことはなく、日本をただ悪として描いている作品でないのもポイント!
最後に
韓国では記録的大ヒットとなった作品でも、内容が抗日なものだと日本では上映されなかったり、されても規模がかなり小さかったりします。
その度合いは作品のよって様々で、韓国でもバッシングをされるほどの偏ったものもあるようですが、本作はそんな中でも中立的だと言えるでしょう。
確かに、日本の警察は憎々しくは映りますが、傍若無人なシーンがあるわけでも差別的な言葉が飛び交う訳でもないので見ていて嫌な気持ちになることは少ないんじゃないでしょうか。
この映画は、その時代や空気感を描くのがメインであって、反抗組織の存在や反日の事件があったことは事実ですが、物語はあくまでもそれらにインスパイアされて作られたものです。
豪華キャストに惹かれて見るのでもいいので、少しでもこの時代の出来事に触れてほしいですね。